Book

三崎亜記著『となり町戦争』

となり町との戦争がはじまり会社員の僕は町役場から偵察任務を命じられる。でも日常には戦争の影はまったくなく、唯一戦争を感じられるのは町報に記載される死亡者数の横の戦死者数の増加数字のみ。戦争って何だろう・・・。 アタシより一足さきに読み終えた…

齋藤綾子著『欠陥住宅物語』

一念発起して購入した中古住宅が欠陥だったら? 官能小説家齋藤綾子が住宅販売会社相手に徹底抗戦する、実録エッセイ(私小説かな?)。 欠陥住宅との闘争譚を期待したのに、半分以上を費やして書かれているのは齋藤女史のセックス遍歴。過剰な下ネタ比喩や…

ダン・ブラウン著『天使と悪魔』

『ダヴィンチ・コード』の前作。科学を信奉する反キリスト教秘密結社イルミナティが反物質爆弾をバチカン市国に仕掛ける。時はまさに前法王が死去し、コンクラーベが開始しようとしているその日。爆発まで24時間、象徴宗教学者ラングドンは美貌の動物学者ヴ…

雫井脩介著『犯人に告ぐ』

6年前の幼児誘拐事件で人質殺害犯人不明という最悪の事態を招いた責を問われ左遷された巻島警視。膠着した5歳児連続殺人事件の捜査のため最前線へと呼び戻され、前代未聞の劇場型捜査を開始した。 劇場型犯罪というのはよくあるが、劇場型捜査とは目新しい。…

見延典子著『三人姉妹』

バツ一で呉の実家を守る葵、札幌で塾を経営している杏、東京で画家をしているネム。30代の三人姉妹の生活と恋愛を活写した家族小説。影が薄いが、コックをめざす大樹という末弟も登場。 以下はO.Jさんとアタシの往復書簡。 「O.Jさんは『もう頬づえはつかな…

『女精神家医』

患者として訪れたハンサムな弁護士に性的な魅力を感じてとまどう精神科医サラ。徐々に男の行動はエスカレートし、身に覚えのないレイプ嫌疑で訴訟を起されて精神的にも社会的にも追いつめられていく、ひーひどい……サイコサスペンス。 うはは、読みながらすご…

光原百合著『最後の願い』

資産家の娘のホームパーティで無残に手折られた薔薇の花。さだまさしの詞になぞらえて「花をちぎる勇気もないひと」と袖にされた男の仕業と思ったら、え、あんただったの!? いあわせた妙なにいちゃんがその真相を暴く…ついでに行く先々で劇団の仲間をスカウ…

本屋大賞

書店の店員さんたちが「一番売りたい本!」を選出する本屋大賞、2005年は恩田陸著『夜のピクニック』が受賞しました。 ちなみに2004年は小川洋子著『博士の愛した数式』。 実は恩田さんの作品はいままで一冊も読了できたことがありません。素直な言葉をつみ…

グインサーガなど

全100巻、最終巻『豹頭の花嫁』で完結するはずだった栗本薫の『グイン・サーガ』、100巻を目前にして(ってもう出てる?)どうやら全200巻になる予定と著者が表明したそうで。ううむ、まだ半分なのか。40巻ぐらいまでは買っていて70巻ぐらいまでは本屋で斜め…

東野圭吾著『さまよう刃』

拉致強姦殺人の犠牲者となった娘の父親が復讐を誓い逃走した少年らを追い詰める。父親が警察に送った手記がマスコミに流出され、世論は是か非かで紛糾し、刑事たちは建前と本音の間で動揺する。少年法のアラと、報われない犯罪被害者に焦点を当てた問題小説…

荻原浩著『明日の記憶』

若年性アルツハイマーの宣告をうけた49歳広告代理店部長、せめて来年のひとり娘の結婚式までは内密にと思うが少しずつ自分の頭が自分のものでなくなっていく恐怖、孤独と不安を一人称で掘り下げた問題小説。 彼がアルツハイマーを自覚する冒頭のシーン、企画…

中野翠著『ここに幸あり』

本書はサンデー毎日の連載を1年分収録した2004年度版、彼女の鋭い感覚で摘み取った昨年のエッセンスがぎゅぎゅぎゅっと詰まっている。本、映画、人、ファッションから市井の出来事や社会問題まで、その凝縮度と中野アンテナの感度には脱帽。リアルタイムで話…

小池真理子著『エリカ』

親友蘭子の葬式に蘭子の愛人と出席したエリカ。こともあろうにその日に思わせぶりな態度をとられあきれたはずの男に、こんなはずじゃなかったのに・・・ついふらふらと。 またしてももてまくり女のお話ですね。でてくる男、でてくる男、ってこっちはそんなに…

藤堂志津子著『夫の息子』

8年越しの不倫を実らせて15歳年上の有名な建築士と結婚した三千花だったが、夫が前妻との息子たちのために払い込む養育費に圧迫されて生活は思ったほど楽でない。こんなはずじゃなかったので・・・ついふらふらと。 もてまくり女のお話ですね。でてくる男…

著『沈黙の森』

バカ正直でまっとうで熱血、家族思いの猟区管理官ジョー・ピケットの活躍するシリーズ第一弾。 あとがきによればダイハードの彼が映像権を獲得したそうで、ほほお、まさしくダイハードの頃の彼ならばぴったりな役どころってか、そのものずばりじゃんジョー・…

江国香織著『間宮兄弟』

決して悪い人じゃないんだけども、いえ、どちらかというといい人なんだけどもぉ、男の人としてっていわれたらちょっと…。30過ぎでいかにもオタクくんで女にもてない間宮兄弟。いまどき30すぎて仲むつまじく同居するとはこれいかに。静かなふたりの日常に…

赤井三尋著『翳りゆく夏』

20年前の被疑者死亡嬰児誘拐事件の犯人の娘が大手新聞社に内定、とのスクープ記事が掲載される。社長の密命を受け20年前の真相を探り始めた左遷社員は、驚愕の真実にたどりつく。第49回江戸川乱歩賞受賞作。 選考委員である宮部みゆき氏の講評にあったとおり…

柴田よしき著『窓際の死神(アンクー)』

OLのもとに訪れる死神は窓際社員のふりをしている。3人のOLと死神の寓話的物語集。 あいかわらずのうまさでさくっと読了。なんでOLの気持ちがこんなにわかるんでしょうか、このお方。 奥付によれば、作品にも多大な影響を与えていた京都暮らしをやめて、…

荻原浩著『僕たちの戦争』

女とサーフィンで毎日を埋め気にいらない仕事はこっちからお断り、な2001年のフリーター健太が、昭和19年の空軍兵卒吾一とタイムスリップによって入れ替わる、タイムスリップ青春白書。 現代の若者が特攻隊へタイムスリップという設定で今井雅之さんの『The …

中村うさぎ著『愛か、美貌か』

ホストクラブからプチ整形まで中村うさぎ怒涛の2002年、週刊文春連載中のショッピングの女王をまとめたエッセイ集の第4弾。 なにかを我慢して後悔するよりは、やって後悔したいうさぎさん。惚れます。やらず後悔するほうに流れてしまう身重じゃないのに身重…

ダン・ブラウン著『ダヴィンチ・コード』

ルーブル美術館長の殺害現場に残されたダヴィンチの素描を模したダイイングメッセージ。容疑者として追われるはめになった象徴学者ラングレンと、被害者の孫娘であり暗号解析のプロ、ヌヴー。フランス警察、秘密結社の刺客が入り乱れる息を吐かせぬ追跡劇に…

乾くるみ著『リピート』

意識だけをタイムスリップさせテ10ヶ月前の自分に戻りませんか…電話で突然そんなコウトウムケイナな誘いを受けた10人の男女。10ヵ月前の過去で彼らを待ち受けていたのは謎の連続殺人だった、タイムパラドックスはどうなっているの!?なSFミステリ。 なんだよ…

角田光代著『庭の桜、隣の犬』

「将来のビジョンをみつけること」が口癖の夫がふいに会社の近くに寝るための部屋を借りると言い出した。妻はふいうちにちょっとだけおどろいて抵抗をみせるものの実は内心さほどの動揺もなく、なしくずし的にその状況を受け入れる。両親、義母、義妹らとの…

平安寿子著『なんにもうまくいかないわ』

40代独身子なしキャリアウーマン志津子はいわゆる負け犬であるが、仕事も恋もバリバリで常にパワフルで奔放で明るくて、でも40年以上生きていて学んだことは「人生なんてどーせなんにもうまくいかないわ」という真理。だからこそ負けたとか勝ったとかそんな…

法月綸太郎著『生首に聞いてみろ』

現代彫刻家のアトリエから、娘をモデルにした遺作の頭部が切り取られ持ち去られた。さらに作家の回顧展を行う美術館に届いた宅配便の中からは本物の人間の頭部が発見される。果たして彫刻の破壊は戦慄の殺人予告だったのか、法月警視と息子の探偵が活躍する…

笙野頼子著『愛別外猫雑記』

捨て猫3匹引き取り、飼い猫1匹と新入りどもをよい環境で育てるために千葉のS倉の戸建を購入し都内の賃貸マンションから引っ越した。苦労と苦悩の日々を綴ったエッセイ。 どこへ行っても病的に猫嫌いな近隣住民にいじめられ、ひきこもり体質に鞭打って果敢に…

川津幸子編『あ、おいしい。』

最近みつけたよい料理本をご紹介〜。 図書館で借りてきて延長してすでに1ヶ月くらい借り続けております。特に凝った料理が載っているわけじゃないけども、とっても役に立つ。基本の料理のほかに、あまり活用しきれていない調味料、たとえば豆板醤やらオイス…

竹内真著『風に桜の舞う道で』

予備校の寮「桜歌寮」で偶然出会った僕ら10人。あれから10年、リーダー格だったリョータが消息不明で死んだかもという不吉な風の便りに誘われてアキラは仲間に連絡をとりはじめる。仕事で付き合いのあるやつもいれば、まったく連絡しなくなったやつもいる。…

中村うさぎ著『さびしいまる、くるしいまる』

いかにして中村うさぎはホストにはまったか。春樹(源氏名)に入れあげて再来年の印税まで出版社に借金し、夫に愛想尽かしされかけてもそれでもホストクラブに通ってしまったのはなぜなんだろうか。恋? 怒涛の散在の日々を書き下ろしたミソギ的エッセイ。 …

村上春樹著『アフターダーク』

歌舞伎町のような歓楽街の終夜営業ファミリーレストランで分厚い本を読みながら夜を明かすマリ、その前に座ってチキンサラダを食べる青年、マリをめぐる一晩の不思議な再生の物語。姉妹に安らかな眠りを。 読んでいる最中に、これは春樹氏の本の中で一番好き…