東野圭吾著『さまよう刃』

拉致強姦殺人の犠牲者となった娘の父親が復讐を誓い逃走した少年らを追い詰める。父親が警察に送った手記がマスコミに流出され、世論は是か非かで紛糾し、刑事たちは建前と本音の間で動揺する。少年法のアラと、報われない犯罪被害者に焦点を当てた問題小説。
東野圭吾はやはりうまい。さすがに一気に読ませます。ああ、寝不足…。
昨晩『テレビの力』というテレビ朝日の番組で茂原市殺人死体遺棄事件のいきさつを目にしたばかりだが、暴力傾向の強い犯罪者というのは本当にどこにでもいるし始末に終えないやからだなと思いますね。作中のテレビ討論の中で「犯人の更生を憂慮するあまり被害者やその家族への配慮が足りない」という指摘に弁護士が「犯人の少年が更生することが被害者家族へのつぐないになる」と抗弁。これを受けて被害者家族が「犯人の更生なんて何の償いにもならない。娘を返しくれ!」と訴える。どうしたってアタシは被害者サイドに立たざるをえません。ゆえにラストはやるせないですが、まあ問題提起のためには致し方なしですか。