2004-02-01から1ヶ月間の記事一覧

高田崇史著『麿の酩酊事件簿 月に酔』

酔拳ならぬ酔推理の若様探偵文麿が活躍するシリーズ第二弾。 ヒロインに振られてばかりの寅さんパターンに搦め手方向から発展が!?

西澤保彦著『夏の夜会』

小学校の同窓会で当時の殺人事件を振り返るが、そもそもの事件の概要さえも各人の記憶は二転三転…「人間の記憶とはきわめて曖昧な代物であるらしい」。 毎度あらたなジャンルを開拓してはミステリ界のタブーに挑戦する著者が今回挑むは記憶錯誤トリック。覚…

藤堂志津子著『海の時計』

美人で恋多き女として生きる母(55)と、祖母に育てられた姉妹(32・30)との確執。 隣の芝生ではないけれど、娘たちからは年甲斐もなく不潔と反発される母の姿が他人には若々しく自由奔放で素敵に見えるという。身内だから見えてしまうものもあるけれど、また一…

藤堂志津子著『秋の猫』

猫や犬を飼う孤独な女性を描いた短編5編。 妙齢の独身女が猫を飼うには「男のかわりに猫か?」という揶揄や視線をはねつける度胸がためされるものなのか…むむ。猫は飼いたし、度胸はなし、そのうえ私は猫毛アレルギー。ところで「妙齢」って何歳ぐらいのこ…

新津きよみ著『希望』

14歳で3人を殺害し少年院送致された少年Aが退院してくる。19歳になったAの名前、住所、写真、現況といった情報が逐一ウェブ上で流され、さらにその周囲で新たな事件が発生し…。 猜疑心、思惑、悪意、好奇心、etc。カウンセリングを受ける母親に罪悪感の乏し…

乙一著『失はれる物語』

死と孤独を底流に据えたホラー風味のファンタジー短編集。表題作は、事故で寝たきりになり、僅かに右腕の触覚と中指を動かす機能のみで外界とコミュニケーションをとる男の話。 どの主人公も世間とのコミュニケーションのズレによる集団の中での孤独を抱えて…

唯川恵著『今夜 誰のとなりで眠る』

看取るのが私ならばいいのにと女たちに思わせてしまう風来坊の秋夫(38?)が交通事故で死んだ。 そこそこの外見で無駄な虚栄心がなく物事の本質を理解する飄々とした男ならば、私も惚れるだろうなあ。女たちがおりにふれて秋夫の言葉を思い出し、彼や自縛から…

唯川恵著『サロメの眠るベッド』

結婚を控えた商社OL映子は奔放な女麻紗子に感化されまったく違う自分を知る。さらに平穏そのものに見えた縁談の秘密に気づかされ…。 バーの怪しいオーナー都築氏の枯れた具合が魅力的だけど、それ以外は特に。

藤堂志津子著『絹のまなざし』

幼娘を亡くした男のトラウマを癒すため、その娘の面影を漂わす女が話し相手を勤めるが、やがて…。 男が娘に似た女を抱けるかという話だけども、どうしても恋愛にしなくちゃいけなかったのかしら? 素朴な疑問。

西尾維新著『きみとぼくの壊れた世界』

近親相姦一歩手前の櫃内様刻が保健室の天才引篭もり少女病院坂黒猫とともに、学校で起きた密室殺人事件の謎を解こうとするが…。 戯言遣い西尾氏の本格ミステリ。躍動感ある会話と地文に思う存分翻弄されるのも、あんがいと気持ちいい。戯言シリーズよりもこ…

唯川恵著『天使達の誤算』

愛を選んだり、名誉を選んだり、その時点ではよかれと思った方向がとんだ誤算だったとき…。 岐路のどちらを選んだところで後悔がないわけがないということ。一生、迷走か…ぐすん。

内田康夫著『化生の海』

余市在住の男が加賀で毒殺され海に遺棄された。現代の殺人と、かつての回船・北前船が結ぶ北海道-加賀ー博多と殺人の接点を浅見光彦が解く。 順風満帆な人生には守るべきものが多すぎる。守ろうとする意志が強すぎると、人は簡単に非道になれるものなのだ。…

岸本葉子著『女の分かれ目』

30代半ばの独身子なし女性の等身大エッセイ。 ん、それはちょっとアタシとは違うぞという点も多かれど、「これで、もとがとれる」の意識には、そうそうそうなのよ!と大いに共感。

藤堂志津子著『されど、かすみ草』

「正しく、普通に」をモットーに生きるお堅いOL万紀子がはじめてときめいたが相手は超美形で…。 ありえないようで、ありえそうなシンデレラストーリーか。文庫で読んだら、解説が先日エッセイを読了したばかりの岸本葉子さんだった。おおお、と一瞬。

藤田雅矢著『星の綿毛』

オアシスのようなムラの少年ニジタマが交易人ツキカゲに連れられ憧れの地トシへと向かうが…植物に造詣の深い著者ならではの、世界の発芽と収穫を綴った長編抒情SF。 人と植物の融合という世界観がすばらしい。最近ブームの多肉植物にこんな利用法があったの…

はやみねかおる著『僕と先輩のマジカル・ライフ』

超真面目青年井上快人くんが超貧乏下宿でスタートしたキャンパスライフ、超常現象オタクの謎の先輩と、幼馴染で超(霊)能力者の春名におもうがままに翻弄されて・・・というユーモア小説。 キャラクターがみな愛らしく、疲れた脳には清涼剤。

藤堂志津子著『きららの指輪たち』

タイプの違う四人の三十路女が同じマンションにそれぞれ部屋を購入しある種の共同生活をしていく中で起こる恋愛騒動など。 普通四人もいればどれかに自分に重なりそうなもんだけど、今回に限りどれも・・・。まあ、かえって気楽に読めたからよいか。歳をとっ…

2月の読書録

牛丼の消えた吉野屋にてマーボ丼

砂糖醤油のにおいのしない吉野屋でマーボ丼を食した。 さかのぼること30分前、ヴァイオリンの稽古で有楽町へと向かうJR車中で晩飯に何を食おうかとさんざん思案をめぐらすHALがいた。マクドナルドのバーガーはたぶん今80円、それにコーヒー180円で、260円か…

廃屋の裏銀座カフェ「カフェ・コンシール」

「銀座のカフェで、かねていきたいと思っていたところが一軒。サイトに目を通してみて♪」 というPさんのリクエストでリサイタル後は銀座7丁目のカフェ・コンシール、2年後に壊される予定のボロビルの最上階(3、4階)にあるギャラリー&カフェへ。ビル自体…