中村うさぎ著『さびしいまる、くるしいまる』

いかにして中村うさぎはホストにはまったか。春樹(源氏名)に入れあげて再来年の印税まで出版社に借金し、夫に愛想尽かしされかけてもそれでもホストクラブに通ってしまったのはなぜなんだろうか。恋? 怒涛の散在の日々を書き下ろしたミソギ的エッセイ。
中村うさぎにキュンとしました。
交流のある、セックス大好きホラー作家岩井志摩子さんと、セックスも男もこりごりな自分を比較して、私たち二人のみている視界はまったく重なるところがないが背中合わせで伝わるぬくもりは根っこは同じであることを伝えてくるというような表現をしていた中村うさぎ。まったく同じことがアタシと中村うさぎを比較した場合にも当てはまるような気がします。買い物依存症中村うさぎ、節約依存症のアタシ。何かの欠落を、別の何かで埋めるために奔走する。ベクトルはぜんぜん違っても、そういう人って多いよね。結局のところ、アタシらって真面目すぎるのかもしれん。
時系列で進む本書のラストは角川書店で上梓する約束をするくだりに達するのだが、その前後では中村うさぎのホスト春樹への切々たる想いが語り倒されまくる。ああ春樹よ、春樹、と連呼されるうさぎさんの熱い思いの相手はジャニーズ顔の愛くるしいホストクンなのだが、ちょっとした錯覚で、角川クン家の春樹クンだったりして、な異次元空間に入り込んでふとしたおかしみを感じたりしたのでありました。