本日のよろこびごと。(991)


チャッピーは マッドマックスな 999(喜) 
ひさびさの更新〜♪
レディスデーで映画を見てきたので感想を。

  • 「チャッピー」

「第9地区」の監督最新作で、やはり近未来が舞台のSF。見た目ごりごりの金属部品むき出しのAI搭載ロボット(生まれたては赤んぼうと同じく無知でピュア)が、誘拐されてギャングの子供として育ち…という話。その程度の予備知識で見に行ったため、鑑賞目的は2つ。チャッピーの可愛さに萌えたいのと、AIは人類の脅威になるのではないのか、その解を知りたいというのと。
まずチャッピー萌えだが、うーん、あんまりだったかな。学習速度が速すぎて幼い時代が短すぎた。怯えて物陰に逃げ込んだり、圧すとキュウと鳴る鳥のおもちゃに喜ぶところがかわいかったぐらい。
萌えと同時に期待していた「誘拐数年後に創造主(博士)と感動的な再会をしてギャングとしての己の悪行を恥じるAI」みたいな展開もほぼなし。なにせ誘拐そのものがまずゆるゆるなのだ。博士はギャングの元へほぼ連日会いに訪れ、チャッピーがギャングの子供として過ごした期間も1週間程度の短さ。全体的に忙しなく粗暴でガチャガチャしていて、感動や余韻というもの生まれる間がない。
チャッピーが個性に乏しいのも、萌えにくい理由のひとつだったかと思う。完璧なプログラミングによる完成されたAIには、バグや故障などで偶発的に生まれた天才にありそうな愛すべきポンコツ具合を仕込みづらいのだろう。まあその分、周りの人物らが個性的すぎてバランスはとれていたけども。
ギャングの疑似パパママがまあ凄い濃かった。母性愛に急にめざめた野沢直子と、マッチョでワイルドすぎる中村獅童というね。そして対立する天才コンピュータ工学博士も、穏やかなオタクインド系と、ウルヴァリン風の元外人部隊おやじ。両者とも天才エンジニアなのだろうに、行動に緻密性や知性的な部分がほぼなく、直情的で場当たり的なのがまたなんともいえず。極めつけはロボット会社のCEOにシガニー・ウィーバーときたもんだ。彼らが自分勝手に引っ掻き回しまくるので、出来上がった映画はパンクでファンキーでクレージーなマッドマックスになったのも道理。
さて二つ目の目的、AIの脅威についての解。なんとこれが意外なほどしっかりと示されていた。監督すごいわ。重要なネタバレになるのではっきりとは書けないが、同時に愛も描かれ、ある意味感動的なラストを迎えるのだが。とはいいつつも「素直に感動していいのか?これ?」と後ろめたくも感じ、さらに「もしや野沢雅子メーテル?」などと思う。さまざまな名状しがたい不可解さに首をひねりつつ映画館を後にする、そんな映画でした。