村上春樹著『アフターダーク』

歌舞伎町のような歓楽街の終夜営業ファミリーレストランで分厚い本を読みながら夜を明かすマリ、その前に座ってチキンサラダを食べる青年、マリをめぐる一晩の不思議な再生の物語。姉妹に安らかな眠りを。
読んでいる最中に、これは春樹氏の本の中で一番好きになるかもしれないと思った。読み終わってみて、一番好きかどうかはよくわからないけれども、一番すんなりとはいりやすい展開だったかもしれないなと。「人にはそれぞれに戦場があるんだ」。LPにレコード針を落としたときの、じじじじじ、ぶつぶつぶつという独特の雑音とともに、ジャズを聴きたくなりました。レコードってとこがいいんだよなぁ。眠れない夜に読むとよいです。