2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

山田宗樹著『死者の鼓動』

先天的心臓疾患の少女は親友の心臓を移植され一命を取り留める。しかし親友の死は果たして本当に事故だったのか?臓器移植がらみのサスペンス。 製薬会社でMRの経験を持つ著者による、緻密で正確な医療描写で臨場感が盛り上がり、ただのサスペンスに終わらず…

小池真理子著『妻の女友達』『贅肉』

ともに、サスペンス短編集。

小池真理子著『プアゾンの匂う女』

婚約者を不可抗力で失った女が関係者に復讐を企てるが…。 心理劇の様相も呈して、なかなか面白い。

折原一著『【倒錯の帰結】首吊り島/監禁者』

本の表と裏から別の話がスタートし、最後に中の袋綴じですべての謎があかされるという企画もの。 究極にして未踏の叙述トリックを目指した異色作だが、策士策に溺れる感じ。

はやみねかおる著『ぼくと未来屋の夏』

未来を売る謎の青年猫柳さんがとつぜん僕のうちに居候しはじめた。凸凹コンビの夏休み冒険譚。 風の又三郎みたいな風来坊猫柳さん(女好き)のキャラがユニークで、ラストのオチも好き。ジュブナイルミステリの雄による大人のためのジュブナイル。子供の頃の…

深谷忠記著『目撃』

一人の小説家の中で父母を巻き込んだ39年前の殺人事件と、現在の冤罪事件とが時代を超えて合わせ鏡のようにリンクする。 事件の証拠として重要視される目撃証言がいかに不確かなものであるか、それに基づいた冤罪事件の可能性を暴き出す意欲作。通り一遍でな…

久坂部羊著『廃用身』

リハビリしても回復の見込みがない身体の部位(脚、手など)を廃用身という。あるデイケアセンターで廃用身を切断するという画期的な老人医療が試みられたが…。 本書は正真正銘の小説ではあるのだが、はたしてこれをフィクションと言い切ってしまっていいの…

新野剛志著『もう君を探さない』

暴力団のトラブルに巻き込まれ失踪した女生徒を救うために元暴走族リーダーで現無気力教師が紛争するハードボイルド。 「八月のマルクス」で江戸川乱歩賞を受賞し鮮烈なデビューを果たしたホームレス作家による受賞第一作。斜に構えた、それでいた冷徹にはな…

皆川博子著『幻夏祭』

お嬢様育ちの主婦汀子(30)。夫は精神の脆さから睡眠薬中毒に、義姉の暁子(39)はかつて劇団を主宰したことで親に勘当され、現在はスナックのオーナーママを、友人の梢子(30)は金と女にだらしない夫と協議離婚し、さばさばと女手一つ娘を育てている。幾筋もの…

筒井道隆康隆著『パプリカ』

PT機器(患者の夢の中へ侵入しサイコセラピーを行う装置)を開発した天才オタク学者時田と、美貌のセラピスト千葉敦子。ノーベル賞候補にまでなった二人は新型機を巡る策謀に巻き込まれ…夢と現実が混濁する暴走型サイコSF。 筒井さんを読むのは高校時代、兄…

唯川恵著『夜明け前に会いたい』

金沢育ちの希和子(24)が加賀友禅の新進作家と運命的な恋に落ちるが、彼の秘密が露見すると…古都を舞台に据えた恋愛小説。 著者は金沢の人だったのだね。こういう自らの土台になる郷土があるっていいなあ。ドラマ化するなら是非NakaiさんとTakeuchiさんで。

新津きよみ著『氷の靴を履く女』

義父母の介護を献身的に行った紀子(38)だが、夫の裏切りに遭い家を出されてしまう。そんなとき大富豪が道で親切にしてくれた女性を捜しているという記事を目にとめ、当該者に心当たりのあった紀子は…シンデレラをモチーフに据えたサスペンス。 ラーメン屋の…

栗本薫著『黄昏の名探偵』

著者が主宰劇団のために作ったナンバーから5曲をテーマに選んで書き下ろした掌編集。 大正浪漫あり、吸血鬼系あり、いつのまにかSF系ありと、ジャンルは盛りだくさんだけれども、底流に流れる旋律は耽美JUNE系なのねん、んふ。

藤堂志津子著『ぬばたま』

綾子(33)の前に忽然と10年前に捨てられた男が現れる。現在進行形の適度な距離を保った恋愛(不倫)と、過去の狂おしい想いの残滓との間で女が出した結論は…。 正月に帰省したときに母までもが唯川恵の本を読んでいるのがわかって驚かされた。そのときに彼女…

小池真理子著『夜毎の闇の奥底で』

妹が恋人を撃った銃を捨てるために山奥に車を走らせる男が、訳あり父娘の経営するペンションに迷い込み幽閉され…サスペンス。 緊迫感とエンタテイメント性があって面白かったけど土曜ワイドっぽくもあり…期待してたのとは違うんだなあ。タイトルが大げさすぎ…

新津きよみ著『決めかねて』

別れるべきか、結婚すべきか、産むべきか。三者三様の悩みを抱えた30代半ばの女性がひょんなことから知り合って、それぞれに選択し新しい一歩を踏み出していく。 自分に経験あるなしに関わらずどの悩みにもなんとなく共感する部分がある。なにが正しいかなん…

霧舎巧著『八月は二夜限りの心霊探偵』

高校生の仲間がつぎつぎと事件に巻き込まれきゃーきゃーいいながら解決していく連作シリーズ、四月からのスタートしてるから、これが5作目。 軽く読めて楽しいんですけれど、ファンとしてはそろそろ新本格の《あかずの扉》シリーズのほうの新作を書いて欲し…

藤堂志津子著『花婚式』

お互いにばついちで再婚して7年目を迎えた夫婦の日常はときに周囲の波風に巻き込まれたりするものの、それなりに穏やかで…。 気の強い奥さんと包容力のあるダンナさん、互いにそれなりに辛酸をなめてきているだけあって相手に対する思いやりもひとしお。ばつ…

藤堂志津子著『やさしい関係』

10年来の友人をふいに異性として意識しはじめてしまう。恋と友情のどちらを選ぶべきなのだろうか。揺れる33歳の女心。 それなりに好もしい相手だからこそ友情も長続きするんだろうけど、友情しか感じてない相手に愛情を示されても困るしなあ…。現実はこの…

内田康夫著『氷雪の殺人』

利尻で殺された男は‘プロメテウスの火矢は氷雪を溶かさない’という謎のメッセージを残していた。浅見光彦シリーズ。 利尻島のウニは利尻の上質な昆布を食べているから最高なのだそうです。って…うーーーーっ、ウニ食いてーっ。

加納朋子著『レイン・レイン・ボウ』

元ソフトボール部の仲間の病死をきっかけに立った波紋を各話ごとに主人公を替えて描いた連作短編集。 短編集は避けるたちなのだけれども、こういうふうにすべての話がたがいに連鎖しあっているのならばそれほど苦手じゃないな。

藤堂志津子著『さようなら、婚約者』

ホモセクシャルであることを告白され婚約を破棄されたが、それでも彼とはいい友達でいたい…揺れる女心。 彼の秘密を隠し通すため本当の破談理由を言わず自分が悪者になるとこは健気だけれども、親戚の翻訳者(資産家、♂)の家に住み込みでお手伝いすることに…

三浦明博著『滅びのモノクローム』

日光の古い旅館の蔵に埋もれていたモノクロ16ミリフィルムがふたたび陽の光を浴びたとき、過去の残影が蘇る…2002年江戸川乱歩賞受賞作。 多少詰めの甘いところや主人公の魅力に乏しさがあるものの、脇役と謎とに支えられて最後までひっぱられる。カルト大西…

藤堂志津子著『別ればなし』

他に好きな男ができたので3年の同棲を円満解消しようと奔走するが…。 別れるってエネルギーがいるよね。

藤堂志津子著『夫の彼女』

ホモセクシャルであることを告白され別居したが、それでも夫を諦めきれない…揺れる女心。 筋だけ書くと昨日読んだ『さようなら、婚約者』に激似だが、展開はこっちのがだいぶ好き。ここからちょっとネタバレ。悩んで悩んでたどり着いた先に「もはや、どうで…

柴田よしき著『蛇(ジャー)』

竜に甥っ子を攫われた女子大生の時空を超えた冒険ファンタジー。 ご贔屓の作家の新作だからとりあえず抑えといたのだけれども、やっぱファンタジーは苦手だわ。飛ばし読みしちゃった。

藤堂志津子著『嘘』

レンタル家族のバイト中の女子大生、気ままで奔放な苦学生生活は楽あれば苦ありで…。 女子大生の同居人がまたしてもホ○。この作家もそういう設定が好きだねえ。

伊坂幸太郎著『アヒルと鴨のコインロッカー』

今日ぼくは広辞苑を強奪するため隣人の河崎と本屋を襲っている…なぜこんなハメに?伊坂氏得意のタペストリー小説。 切り取られた断片が最後に一つの大きな絵を描き出す。絵が反転して思いがけない鮮やかなシーンを紡ぎだすその瞬間がなんとも小気味よい。冷…

藤堂志津子著『ジョーカー』

父に溺愛されたある娘の19歳、27歳、32歳の転機。 ひさしぶりにハードカバーでなく文庫本を手に取った。文庫のよさはラストに解説がついてるとこだね。作品や作者の意外な背景や、交流が知れる。本書は山田詠美で著者と友達らしい。へ〜、意外。山田さんの視…

田中芳樹著『黒蜘蛛島(ブラックスパイダー・アイランド) 薬師寺涼子の怪奇事件簿』

警視庁の魔女王薬師寺涼子さまが繰り広げる破天荒なホラーアクションユーモア小説。 今回はカナダのバンクーバーやらヴィクトリアやらを舞台に巨大蜘蛛相手に問答無用の大活劇!ばかばかしさがいい。バンクーバーの描写がなにやら郷愁を誘うし。また行きたく…