深谷忠記著『目撃』

一人の小説家の中で父母を巻き込んだ39年前の殺人事件と、現在の冤罪事件とが時代を超えて合わせ鏡のようにリンクする。
事件の証拠として重要視される目撃証言がいかに不確かなものであるか、それに基づいた冤罪事件の可能性を暴き出す意欲作。通り一遍でなく説得力があり、さらにアッと驚くどんでんがえしもあり、読み応えがある。今後注目したい作家。