皆川博子著『幻夏祭』

お嬢様育ちの主婦汀子(30)。夫は精神の脆さから睡眠薬中毒に、義姉の暁子(39)はかつて劇団を主宰したことで親に勘当され、現在はスナックのオーナーママを、友人の梢子(30)は金と女にだらしない夫と協議離婚し、さばさばと女手一つ娘を育てている。幾筋もの人生の綾が交錯し、3人の女の人生が少しずつ形を変えていく。
世の中は、甲斐性なしのバカ男たちと、それを莞爾と受け流す女たちとでできているのだなあと思わせる、そして結婚っていいなあと思わせる夫婦が一組としてでてこない。いったい著者の人生観ってどんなもんざんしょ。しっとりとした文体含めて、そんなとこも好きですけどね。