筒井道隆康隆著『パプリカ』

PT機器(患者の夢の中へ侵入しサイコセラピーを行う装置)を開発した天才オタク学者時田と、美貌のセラピスト千葉敦子。ノーベル賞候補にまでなった二人は新型機を巡る策謀に巻き込まれ…夢と現実が混濁する暴走型サイコSF。
筒井さんを読むのは高校時代、兄の本棚から拝借した『家族八景』以来か。あのときは人間の内奥の醜さに激しい忌避反応を起こしたもんだが、今なら屁でもねーだろうな。ま、それはいいが。メタなキャラクター設定やら、後半一気に加速する暴走混沌ぶりやらがやっぱ面白いねえ。そしてラストで途方にくれる、と。