大森望・豊崎由美対談集『文学賞メッタ斬り!』

文学書を総なめし、文壇の裏事情を暴露する天下御免の痛快対談集。
文壇の孤児パルコ出版なればこその容赦なさ。「ああ、やっぱりね」と頷いた後に、「えっ!そうなの?」という驚きが。濫読しといてホントによかったなあと思う面白さあり、しまったアタシはこれを読み落としていたのか!という悔しさあり。とにかく面白い!! 本を読むのも映画を見るのも、批評家の意見がでてからといういう人もいるが、アタシは先入観なしに読んだり見たりしたいのでそういう気持ちがわからなかった。が、なるほどね。豊崎由美のおもしろいといったものならばという気になったもの。しかし一方でそうした傾倒は自身の感想と豊崎さんの感想の境界線がぼけていく危険がともなう。なんてね、ま、正直に言うとアタシの境界が豊崎さんに侵食されて、自分の感想がなくなってしまうというのが怖い。