本日のよろこびごと。(304)


コンビーフ そういや最近 食ってない(喜)
少し前にここを読んでくれてる友達から
「最近は本の感想とか書かないね。結構参考にしてたのに」
と言われたのを思い出したんで、今日はひさびさに本の感想を。

子供の頃のサマーキャンプのふわふわした記憶。しかし不自然にその存在すら否定する親たち。いつしかあれは自分の想像の中のことだったのだと思うようになったけれど、やはり実際にあったことだったのだ。大人になった子供らが不思議な縁で集うとき、秘密の扉が…。
7人のかつての子供たちの視点で順々に語られていく過去の記憶、そして現在進行。
いつ炸裂するかわからない心理的爆弾がしかけられ、キャンプがなぜ突然打ち切られ秘せられるようになったのかという謎や、平和な家族風景の裏側などを暴いたりといったミステリー的要素で興味を引き寄せつつ、家族とはなにかを問う作品は『八日目の蝉』に近いものが。
事実を小出しにする見せ方でページをめくる手を止めさせないし、7人の子供たちのそれぞれの役回りの振り分けもさすが角田光代。あざとい気もしちゃうけど、メリル・ストリープ的「アタシ、うまいでしょ」なふてぶてしさも著者の持ち味だよね。
たぶん7人もバリエーションがあれば誰かには少しずつ自分を重ねてみることができるはず。アタシは誰かっていうと、うーん、言いたくないっ。って言った時点でバレちゃうか(笑)
テーマのネタバレはできないから感想が書きにくい。謎が明らかになった後は彼らの動揺が描かれていくのだけれど、終盤のほうを読みながらずーっと思ってた。
「そんなにこだわることかなぁ?」
って。ま、それも当事者になったらわかんないか。でもやっぱりそこまでこだわることかなぁ?って思ってしまう。
なんてケチつけてるみたいだけどひさびさにかなり面白かった本です。途中がややビターでも後味が苦すぎないようにミルクが多めなとこもいい。
ところで自分のサマーキャンプの思い出は、千葉の養老渓谷でカレーを作ったときのことかな。
「えっ、カレーにコンビーフ入れるんだ!?」
って驚き(笑)