本日のよろこびごと。(303)


ジャックゆえ 女心は 小舟のように(喜)
今日は昨夜NHK BShiで見た映画の感想を。

  • 『恋愛小説家』

潔癖症の偏屈ジジイ(ジャック・ニコルソン)と子持ち中年ウエイトレス(ヘレン・ハント)の不器用な恋愛を描いた秀作。
主演の二人が人生のピークを過ぎた風情をナチュラルに醸し出し、ナチュラルすぎて序盤はやや引いてしまいます。もっと夢のある話がみたいじゃんって。
なんたってジャック演じるジジイが嫌味なやつでねー、人の一番いじってほしくない傷口にニタニタ笑いながら錐をぶっさし、ぐりぐりと塩を塗りこむことを生業としているふうで、彼がもと恋愛小説家だったとはとても思えず。でもね、それがだんだんとこの人は不器用なんだなぁと愛情を持って見られるようになってしまう。
隣人のゲイとの関係が秀逸。最初は蛇蝎のごとく毛嫌いするが、次第に積極的にかかわりをもっていく。「いい人になりたい」とクソジジイが思うようになり、それを素直に吐露できるようになる。友人にも、
「お前、変わったな」
と言われる。素敵じゃん。
とはいえ毒舌と空気を読めないクソっぷりは中盤過ぎても変わらず、ヘレン・ハントといい雰囲気になっても、さいってーなセリフでぶっ壊す。アホでしょ。これね、相手がこんなに包容力のある素敵な女性じゃなかったら、話がすぐ終わっちまいますよ。恋愛に発展するわけがない。でもね、そこにはすごく素敵な必然があるんだよなぁ。ラストシーンでのジャックのセリフにその答えが…ああ、言いたいっ。でも自粛。
以前も見たことあるけれど、前に見た時よりも気持ちがスッと彼らに寄り添えるのは、年齢的なものがあるんでしょう。なんども見る価値があって、見るたびにまた良さがわかる映画のひとつ。DVD欲しいなぁと思う。思うが買うまでにはいたらない。
あの崩れた魅力はジャック・ニコルソンだからこそなんだけど、DVDを買うまで至らないのもジャック・ニコルソンだから。ヒュー様やコリン・ファースだったら即買いしちゃう悲しい女心だぜ、こんちくしょう。
もしも日本でリメイクするならと考えてみました。津川雅彦いしだあゆみってのはどうでしょう?