本日のよろこびごと。(175)


煎餅や 人形焼を 買出しに(喜)  
東野圭吾著『新参者』を読んだんですが、もう、なんつーか、すげーよ、圭吾さん。面白いったらないわ。数多ある連作ミステリーの中でもこれは傑作じゃなかろうか。
ドラマは現在放映中。既に何話かを見てしまっているので、加賀さんの声が阿部寛で再生されてしまうけれど、人を食った、飄々とした加賀という男に、すごくはまっていると思います。完全に彼の声で違和感なし。
ドラマで見てしまった章に関しては、オチも覚えているので、加賀の推理の鮮やかさに対する感動が残念ながら薄い。そのかわり、
「なるほどー、これがこうで、あれがああなのねー。うまいことドラマ化してやがるなあ」
と感心したり、原作では余韻を楽しませるようにサラリと流している部分を、ドラマではややしつこく演出しちゃっている、その違いにも、へー、なるほどー。
未見あるいは未放映の章は自然に楽しめて、
「ほおお、すげー」
と加賀の超人的な洞察力と推理にひとしきりうなった後に、
「ドラマでどう描かれるのか、見逃せないわ!」
という気になる。それって、原作とドラマのとってもいい関係だよね。
さらに、原作を読んだだけの人も、ドラマだけの人も、日本橋という街を散策したくなる。モデルになったであろうお店で人形焼やお煎餅を買いたいとそんな気にぜったいなる。人を動かすミステリーだよ。すごいなー、圭吾さん。