東野圭吾著『聖女の救済』

  • あらすじ:資産家の夫が毒殺される。美貌の妻・綾音のアリバイは完全に成立し、夫には若い愛人の存在も浮上。絶対実行不可能な前代未聞かつ綿密な殺人計画をガリレオの推理が解き明かす。最後に炙り出される未亡人の切ない真実…。

ご存知、ガリレオシリーズの最新作を読了。
トリック自体は短編用か?と首を捻るあっけなさで、肝心のガリレオの考察も理数を駆使した論理解とはいいがたし。最初に犯人がわかってしまうコロンボ式構成で書かれているが、もしも最後まで犯人がわからないような書き方をしていたら、『氷の微笑』みたいにラストまでハラハラ、先を読むのが辛くなったかも。「犯人なの? いや、違って欲しい」と、草薙刑事にどっぷり感情移入、それはそれで面白そうだったな。
ところで、テレビ放映前には佐野史郎でイメージしていたガリレオだが、放映後はどうしても福山雅治になっちゃうね。頭の中の映画館では、他の登場人物も俳優/女優を当てはめて、で、まっさきに降臨したのが、真柴綾音=松嶋奈々子。エレガントで優しげな話し方がぴったりじゃない? ならばダンナは…、
TVドラマに毒されているアタシの脳はここに『やまとなでしこ』のキャストを勝手に連れてきてしまう。ああ、なんという貧困さ。

おおっ、わりと無理なくはまったよ。ならばここはぜひとも東十条さん(東幹久)にもご出演いただいて、綾音に恋慕する草薙刑事を…あ、既に北村一輝さんが演じていたか。それ以上に問題がある。欧介&桜子のハッピーエンドの未来がこんなんってどういうこっちゃ…欧介さん、それはあまりにもブラックだ〜(泣)
トリックに難はあれども、すべてのシーンが視覚的に浮かんでくる流暢さ。妻・綾音の魅力で、この話はシリーズの中でも好きなものになりました。映像化が楽しみです。