酒井順子著『負け犬の遠吠え』


今年の流行語大賞になるんだろうかという勢いの「負け犬」のひとりとして読む。美味いご飯を炊くために一人用土鍋を購入して悦にいるなんてまさにアタシのことじゃんか、などなどまあ確かにところどころ鋭い指摘はあったものの、全体を通すと「ふうん」という印象。期待したほどでは、って何を期待していたのやら。分析としては優れているけれども、それだけなのだよね。著者は、己も負け犬の一員であるという自覚を持ち自虐的な振りをするけれども、そこに「こんぐらいアンタらに擦り寄ってひよりましたけれども、ご満足いただけたました?」みたいな計算がちと透ける。
女性誌は読んでもバカになるだけだけど読まないとただくすんでいく、というような一文は、我が身を振り返ってくっすん大黒。