人体の不思議展2


Pさんに招待券と割引券があるので700円で見られるよと誘われて見てきた*1人体の不思議展というのはこれが2回目の開催で前回は遺体を展示するということに関して各方面で物議をかもしつつ大盛況であったらしく、酒の席でその話題で盛り上がった覚えもある。とはいえその場に居た人は誰も見てなかったが。今回のメインテーマは血管(たぶん)。
小洞天*2で腹ごしらえして会場の国際フォーラムへ。1Fの東京よりのスペースで開催されていて、有楽町方面からフォーラムの敷地に足を踏み入れても「お、やってるやってる」的な気配はあまりない。本当にやっとるんか?と不安になるが近づけばそれなりに「あ、やってたか」というくらいの主張のなさ、えぐいテーマにそぐわぬ奥ゆかしさ。
それでも祭日とあってチケット売り場には100人ほどの行列がうねうねと帯をつくっている。さして広くない会場スペースを思うと、なんか混んでそうでやな予感がただよう。案の定、会場内はわらわらとした状態で、入場してすぐの掴みのガラス展示は人垣で見えん。でも全身の筋肉を露出させた人体やら輪切り人体やらがそちこちにあるのでいいことにしておく。はじめの数体は珍しさもあり近くに寄ってじっくり観察していたが、さしたるまもなく食傷気味に。跳躍するポーズの筋肉露出人体はなんで女性なんだろうとか、骨との接点を一箇所残し残りを浮かせて花びらのように広げた鶏手羽チューリップ状態の人体(「アキラ」みたいとPさん)に、なんでここまでするんやろうかと疑問を抱く。
今回の呼び物、動脈に樹脂を注入して地球2週半(だったかな?)するという全動脈血管の標本の前へ。これはポスターやチケットの写真にも使われていたので、おおという感じ。体のどこを切っても血が出るというのも、さもありなん。やはり酸素を取り込む肺のあたりの毛細血管は綿がはりついているように密である。ふむ。面白いのが手のひら。太い動脈がまさしく指を赤い太い針金で縁取っているように綺麗な輪郭を描く。「だから止血するとき指の付根の両脇を押さえるようにするんだ」とPさん。なるほどー。ちなみにPさんは看護士。その彼女の興味をもっとも引いたのは病変を持った内臓の標本(胃がんの胃とか、すい臓とか)。しきりに「もっと近くで見たい〜」と望んでいたが、ガラスケースに張り付いた何層もの人垣に阻まれて、断念していた。ひどく残念そう。
さして広くもなく多くもない展示量ながらもかなり食傷でグロッキーなアタシ。出口付近では「骨密度と脳年齢測定1000円1時間待ち」のブースの中を覗いて「整理番号をおとりになりますか」と言われて「いえいえ」と退散。
「骨密度はわかるんだけども、脳年齢ってどうやって測定するんだろ?」「あ、ここに書いてある。なになに(コンピュータの画面にでてくる数字を順番に押さえていく)と。なーんだ、そんな方法かい」「骨密度は測りたいけど、脳年齢がでるのはやだ」。ふと看護士Pさんがぼけた。「こういうのの年齢って悪いとどっちになるんだろうね?」「え、どっちって?」「高くでるのか、低くでるのか」「そんなの高いにきまってるやん」。なんてボケかますんじゃろかとその時はあきれたが、小学生が脳年齢を測定した場合なら悪い場合には低くでるのかもしれんと今ふと思う。いや、待て待て。こういう測定は大人を対象にしているはずだから、やっぱ悪いと高くでるんじゃないのか。
オオギリは「触れる展示」二点。まず脳の重さを体感するコーナー。脳みその標本を手に乗せてもらえる。もちろん本物だが樹脂で固めてあるのでふにゅふにゅしてないし、においもない(嗅いだわけじゃないが)。Pさんとアタシも列に並んだ。順番が来て手にする瞬間、インストラクターの姉さんがぼそっと「本物ですよぉ」と耳元で。なぜじゃ。そのせいか本物の遺体の脳みそに触ってしまったという、罪悪感やらで悪寒が去らずトラウマになりそ。ううぅ。そんなアタシを尻目にPさんは脳重量体感のあとに、触れる筋肉人間にすりすりとかなり熱心に触っておった。
アタシはもう見るのもイヤなので先に売店をチェック。筋肉人体標本や臓器の記念絵葉書に、にやり。誰かに出してやろうかなと。でもあまりにも悪趣味なので良心がとがめてやめておく。展示パンフレットをくりながらPさんはしきりと人体標本の作り方にこだわって「もう少し詳細まできっちり載せといてくれないと…」とぼやく。パンフは買わなかったが「まずはハツカネズミからだな」と。おいおい。
さて総合すると定価の1500円だとお高いが、700円なら順当かな。でも「また行きたいか!」と言われても「うーむ」なのであった。えぐいしね。食事は先にしといて正解。

*1:定価1500円で割引券で100円引き

*2:有楽町ビックカメラのB1。肉肉したボリュームのあるシュウマイが有名だが、五目炒飯もお奨め。ランチメニューには特製炒飯ってのもあり、炒飯がかけご飯になっていると聞くと試してみたい誘惑にかられるが、やはり普通のほうが美味かろう。シュウマイのみが目当てならシュウマイご飯か、13時過ぎからのシュウマイセットがよろしいかと。