柴田よしき著『水底の森』

東京のアパートで顔をつぶされた身元不明の男性の死体が発見された。居住者である夫婦は失踪し、翌日その夫は公園で絞殺死体となっていた。重要参考人として手配された風子という女の過去を追う刑事たちの前に、幸福をいつもつかむ寸前に失い続けてきた不幸な宿命を負った一人の女の姿が浮かび上がり…犯罪小説。
前半は女と刑事たちの追いつ追われつのデッドヒートと、すこしづつ明かされていく女の実像で、いい盛り上がりをみせる。ところが後半、刑事のひとりが女に共鳴して不可解な行動に走るあたりから、どんどんとおかしくなって、そして仕舞いがアレでは。どうにもこうにも、しらけてしまう。