横山秀夫著『臨場』

“終身検視官”の異名を持つ倉石が、尋常ならざる検視能力を発揮して事件の真相を看破する連作。
いままで代表キャラがいないといわれていた横山作品についにこれこそは!というキャラが登場したというふれこみに偽りなしであった。おもしろい。まさしく、警察小説の醍醐味ココにあり。臨場に踏み込んだ臨場感。読了し本を閉じた瞬間に、装丁にほどこされたkeepOutの黄色いテープがとても効果的に目に飛び込んできた。ああ、アタシは今の今まで黄色いテープの中にいたんだという心地。
ひとつだけ難をいうならば、作中、女性のレイプ率が高いのが同姓として読んでてちとつらかった。そりゃレイプシーンが直接的に書かれているわけじゃないけれども、現実の事件により近いカタチで警察小説を書くと、どうしてもこうなってしまうんだろうか。それだけそういう犯罪が多いということなのかも…しゅん。