鷺沢萠著『ウエルカム・ホーム!』

そりゃぼくは大学の同級生だった男の家にころがりこんで、妻をなくした奴の息子を育てちゃいるが、でもぜったいにホモじゃないんだ!という主張する居候の渡辺毅くん。外資系証券会社のバリバリのキャリアウーマンでバツ2、波乱万丈の末現在独身の児島律子さん。それぞれが、ふつうじゃない『ほーむ』をみつけるおはなし2編。
楽しくて、ちょっとほろりの寅さん的ユーモア小説。おもしろーい。鷺沢さんってこんなに明るくて前向きな小説を書いていたのね。なのになんで本人はグッバイホームしちゃったんだよ。もっとこういう話が読みたかった。もっともっとたくさん書いていて欲しかった。なんでなんだよ。くやしい。もったいない。おしい。さびしい。いろいろ、つらつら思う。
本書は舞台の構想と連動して書いた小説で、脚本を手がけた舞台の初日(6月でした)を待たず4月11日に彼女は35歳の生涯に自ら幕を引いたのでした。ご冥福をお祈りします。
鷺沢さんの公式HP http://homepage1.nifty.com/meimei/ 一周忌までは続けるそうです。