北森鴻著『屋上物語』

飛び降り自殺、殺人、失踪、やたら不可思議な事件が続くデパートの屋上。名物うどん屋の傑物、さくら婆ァとそこに集うちとやさぐれた面々がその真相究明と解決に奮闘する、ユーモアミステリ。
探偵役はうどん屋のさくら婆ァで、語り手はデパートの屋上の無生物たち、つまり、屋上稲荷の狐とかビンボールマシンとか観覧車とかベンチとか。コレだけきくと、へえ、ほのぼのした設定みたいだねと思うでしょうが。ところがどっこい、登場する悪いやつは性根までもが腐っているタイプがでてきたりして、北森氏は性悪説に組しているのかな?と思わせるような苦味が効いている。