若竹七海著『火天風神』

三浦のリゾートマンションを未曾有の台風が直撃。孤立した人々を高波、暴風雨、火事といったアクシデントが怒涛のように襲い、さらに死体はでるわ、管理人は錯乱しジェイソン化するわ…バトロワ風ノンストップパニックサスペンス。
シニカル&コージーミステリを得意とするこの著者にしてはかなり異色作。でも面白い。深夜1時過ぎにちょとだけと思って読み始めて止まらなくなり、そのまま読み終わるまで本を置けずに朝6時、チュンチュンチュン。あーあ。でもね、これ天気のよい昼間に読むんじゃなくて深夜に読んで大正解。カーテンの向うの暗闇が、もしかしたらアタシも暴風雨の中に閉じ込められてるんじゃないかという錯覚を生む効果ありで、「あれ、外が静だぞ。台風の目に入ったのか?」なんてなヘンな感覚に。ちげーだろ、台風は小説の中だろ、今は夏でもねーし。嵌りすぎ。リアリティうんぬんよりも、ゲーム感覚で読むこと。タワーリング・インフェルノのオマージュかしらね。