青井夏海著『スタジアム虹の事件簿』

万年最下位チーム東海レインボーズのスタンドに現れる場違いなご婦人は、亡夫の後を継いだ球団の新オーナー。門外漢の彼女は野球ルールをおっとり刀で身につけつ、場外で発生した事件の謎までもおっとりと解いてしまうのだった…前代未聞球場型!安楽椅子探偵もの。
女オーナーの推理には別の可能性もあるのでは?と思われる甘さはあれど、野球と安楽椅子探偵を結びつけた発想はえらい! これが著者のデビュー作。後には助産婦探偵ものなんてシリーズもあり、日常からヒントを得て発想を広げていくタイプなのだね。東海レインボーズを漫画化するなら、ずばり『メイプル戦記』の川原泉さんに一票。
ところでアタシはテレビで巨人戦をやっているとほかに観るのがなければなんとなく観てしまう程度の野球ファンなので、「金村が打ったボールは三塁線に、サード船橋がとびついて一塁にすばやい送球がなされるも、ぎりぎりセーフ。続く三番…」なんて描写が半ページほど続いてもほいほい読むけど、超野球オンチの友人Nさんならばその文がでてきただけでアウトかも。