本日のよろこびごと。(971)


黒木華 タキを超える日が 楽しみです(喜)
テレビでみた映画の感想〜♪
succulent「黒木華、すごいね。松たか子もいいんだけど、やっぱり超えてるんだな」
へえ、「リーガルハイ2」では邪魔なだけだったのに。
succulent「ああ!あの邪魔なひと、あの人だったんだ。顔が重なって、似顔絵が犯人の顔に似てた時と同じ快感が!」
そりゃあ良かった(笑)
succulent「衣裳(着物にうっとりはお約束)も小道具(おもちゃとかね)もすごい。戦前モダン、ぐっときます」
という感想やり取りがあって後に録画消化。

  • 「小さいおうち」

ホント、この黒木華いいねぇ。“おしん”みたいな東北田舎娘を、巧みな方言と素朴な顔立ちで演じきり、寡黙ながらもしっかりとした存在感をだしていて。ただ素朴なだけでもないのよね。女の情を知っていく過程では、まるで可憐な雑草に鼻を近づけたら思いがけず強い香りにむせたみたいな、ふいに匂い立つ情感を随所で醸し出しもして。この子、何者?って感じ。ホントによくぞ見つけてきた、よくぞ彼女を配役したと絶賛するっきゃないでしょう。新進気鋭の女優さんに間違いないが、あまりにもタキ役にハマりすぎていたか、「リーガルハイ2」での生かされなさが不安要素。
もちろん松たか子も素晴らしかった。こちらは技巧派で華がある。それでいて自然で、奥様然としたきつめの存在感と女心の乱れにハラハラしどうしでした。
ツボなシーンをいくつかあげると、
板倉(吉岡秀隆)を玄関で見送る奥様が両手を後ろにまわし、自分の指をきゅっとつかんだところ。たぶん監督の演出だと思うけど、恋してる女のもどかしい感情があふれてきた。
板倉の下宿を2回目(?)に訪問したときの、手だけがにゅっとでてさっと奥様を引き込むところ。アタシまで「あっ!」。
女中部屋でくつろぐタキの妙ななまめかしさ、からの、奥様に急訪されて女の気配をすっと消すところも地味ながらツボ。
他にもあるけれど、ざっとこのくらいで。
現代パートもよかったね。だいたい蛇足感があったり、泣かせや主張が入りすぎて嫌なものだけれど、この作品に関しては必然性が感じられました。青年(妻夫木聡)の、タキばあちゃん(倍賞千恵子)とのかかわり方も馴れ馴れしすぎず、よそよそしすぎずでいい塩梅。タキの「長生きしすぎた…(涙)」にはもらい泣き。
それと映画を彩る戦前モダンね、これはアタシも大好物。ぐっと来ないでなんとする。大正〜昭和初期の無駄のない美しい暮らしは理想。傘上のスイッチに手を伸ばし捻って点灯する天井灯は和装でのしぐさと相まっての総合美、玄関の色ガラスや建具のさりげない飾り、女たちのおっとり上品な話ぶり、ああ、うっとり〜。アタシもせめてティーカップにはソーサーぐらい使うようにしたいもんです。
監督は山田洋次。「細雪」の市川崑亡き後、戦前モダニズムを耽美に走りすぎず美しく撮れる監督さんはもはや貴重な存在です。ただ、テレビ放映後、新作映画「母と暮らせば」宣伝のために映った監督の姿が、老成した板倉っぽくてなんか笑っちゃいましたけども*1。監督は板倉に己を重ねていたのかしらん。
見て損のない良作。たった一つの欠点は、
「あのおうち、小さいか?」

*1:髪型と穏やかな口調が全く同じなんだもん