本日のよろこびごと。(965)


ワシオ君 金髪兄貴と 手を切るべし(喜)
昨日は「スマスマ」のバナナマンにほっこり心が和んだなぁ。「ああ、やっぱバナナマン大好きだー」と何度目かの再認識をして、リピートリピート。ああ、ほっこり。
そのあおりで相対的にアタシの中でちと薄くなってしまった月9ドラマの感想をば〜♪

  • 「デート」第6話

太郎のエピソードとかいつの時代のドタバタ喜劇かよとややしらけ、したがって笑いどころも少なくてついにハズレ回か、どうせ谷口の雑煮で奇跡的に丸く収まって足りなかったのは「愛の一味」路線だろと一度がっくりさせておいて、からの、ラスト怒涛のごとく紐解かれる裏事情と深い思いやりあいに、
「ぐあああーっ、そうくるか、くうーっやられたあああぁぁーっ!」
ああまたしても脚本家の才能に脱帽。
依子と父の関係性と複雑な愛情表現の交換はいかにも藪下家らしくてすごく良かった。母の残したレシピ通りに作っているはずが再現できずに17年、そこにあんな論理的かつ父からの愛、娘からの愛がたっぷりとつまっていたとは。さらに封印してきたレシピを谷口に教えた依子の愛(目的達成のために努力を惜しまないだけか?)も織り込まれていて、今週は見終えてからどんどん良さが増してく。感動と感嘆が交互に波のように訪れて。
依子父が木刀を下段に構えて追う姿の決まりようはさすが松重豊さん。追われる立場は演技とはいえ怖かったろう。木刀で根性を叩き直すのではなく素振りをさせる懐の深さ、しかしいくら懐が深くても父として許せないことはある。言葉濁さず詰問し「娘を好きでないのなら消えてくれ」。怖えぇー。以前の谷口ならビビッて遁走してもおかしくないが、己を飾らず嘘をつかず正直に応えたところ、情けなさの中に人柄が透けて見えて良かったね。クズでも腹蔵や悪意はないのだ。きっと依子父ならば、不器用で生きづらくて身を持ち崩した男の中に、娘に近いものを感じ取ったに違いない。だからと言って依子を愛していない男になんざ依子を託すつもりはさらさらない。
ただ娘の気持ちはというと、もうすっかり谷口と居ることを楽しみだしている、自覚なくても。極めつけは、依子にとって大切なレシピであり、泣くほどに胸を締めつけられる味を託したことだ。泣きだした父娘を見守る谷口、感受性の強さだけは長年の隠遁生活で熟成発酵充分だろうからいまが飲み時スモーキーフレーバーが、ってマッサンか、まあ彼の心が動いたのは間違いなかろうね。かくして二人の絆が着々と形作られていくのだ。これは恋が育っていく過程をとても丁寧に描いたドラマなのかもしれません。
依子の内面が明確にされた回でもあったかと。なんとなく視聴者が感じていた母へのコンプレックスと挫折、ああやっぱりそうだったんだ。己が天才でないことを自覚して頓挫したという点で共通する二人は、かたや国家公務員キャリアに、かたやニートに。そんな二人がであったのは奇跡だ。いやドラマだよ。
谷口の意外な実務の才が初めて垣間見えたのもよかったね。レシピ通りに作ったって失敗する人は失敗するし、昔はわりと優秀なモテ男だったらしいからホントはやればできる子なのよ。これで主夫業に現実味が?
さて今週のワシオ君は、
知人女性の実家を訪問した男性として立居振舞は完璧でまさに理想の彼氏を体現。急遽作った雑煮すらも絶賛の美味、もはや谷口に勝ち目なしのかっこよさ。おばさんに「ワシオ君とニート、スポーツマンとニートどっちがいいかなんてわかるでしょ」など後方支援ももらえて。にも関わらず依子の眼中になく、キスまでしたのに哀れなり惨敗。しかし”哀れ”でなければ彼はただのストーカー暴走男。金髪男の傀儡と化したようでもあるし、報われないからこそカッコよくも可愛くも思えるのだとなんとなくわかりました。