本日のよろこびごと。(966)

アメリカンスナイパー


テロ戦に 答えはないのが 答えなのかな(喜)
レディスデーで映画見てきたよ〜♪

クリント・イーストウッド監督の才能に打たれっぱなしの2時間25分、すごかった。
主役のブラッドリー・クーパーロビン・ウィリアムズを超でかく超マッチョにした感じ。顔立ちもそうだけど、透明感のある人の心をのぞき込むような静かな目が似てる。なのにすごく好戦的で怖いんす。味方にはいい奴なのに敵には容赦ない鬼。愛国主義者だから、って役柄の話ね。本作は、イラク戦争にスナイパーとして約1000日参戦し、160人*1仕留めた実在する戦争の英雄クリス・カイル氏の伝記映画です。
イラク戦争ってことは対アルカイダ戦なので、鑑賞しながらISIS(イスラム国)と現在行われているであろう戦闘もこんな感じなんだろうなと。戦闘映像からは余分な説明を徹底排除し、とにかく汲み取れというような不親切な構成で、だから余計に緊迫感があって戦場に巻き込まれてしまう感覚に。叙情性を廃し、感動をおしつけるようなところもない。でも確かに人間を描けているんだよね。強さ、愚かさ、優しさ、虚しさ、喜び、苦しみ、救いようのなさなど。
戦争といってもテロ戦、ってことはジュネーブ条約なんてものは機能しない。殺らねば殺られる。そして殺られなくても心を病む。とにかく地獄。帰還兵の抱える違和感と悩み、PTSD。奥さんが主人公に言うのよね、「心はまだむこうあるのね、還ってきて」って何度も。
まあ、とにかくいろいろと心を揺さぶる映画でした。戦争行為ってなんのためなんだろうね。誰かを救うために戦った行為によって新たな憎しみの火種が生まれ、際限ない憎しみの連鎖。かといってテロリストを野放しにすると殺戮と蹂躙で地域が荒廃し虐殺が横行する現実がある。なにが正解なのか。進んでも地獄、やめても地獄。正解はわからない。
良作です。戦場なので残虐なシーンは多いし、やるせなくて空しくもなるので心の健康な時に見てください。
そいやアカデミー賞は作品賞を逃したけれど音響編集賞を獲得したとか。さもありなん。本編の音響も素晴らしいのだけれども、エンディングクレジットにおける音楽演出は圧巻だと思いました。鎮魂歌であり、黙とうであり、観客の心情に寄り添ってもいて。

*1:公式発表、実際はもっと多かったらしい