本日のよろこびごと。(891)


人類が この子孫だったら ちょっと嫌(喜)
久々の更新。映画見てきたんでその感想を。

  • 『ノア 約束の舟』

びっくりだよ。そーとー駄作だったわよ。
(※ここからかなりネタバレ)
溶岩巨人(堕天使)が箱舟を作るのに協力したり、魔法使い(ノア父)が洞窟にすんでいたりするシーンは、その醸し出す神話世界感が子供だましとはいえそこまで悪かぁない。箱舟に押し寄せた人間軍vsノア軍の阿鼻叫喚な死闘も、一方的な人間殺戮にしか見えんかったが、まあそれでもいちおう壮大っぽさを漂わすことに少しだけがんばっていたと思う。以上が前半ね。
ところがこの映画のすごいのは後半が、家族崩壊を描いた別次元にいっちゃうところ。
狂信的で粗暴なノアは「人間は地上から消えるのが神の意志だ」と家族の哀願を無視し強権発動、黙々と従ってきた良妻もしまいにはぶち切れ「一人で孤独に死んでけ!」とノアを罵り、エマ・ワトソンといちゃいちゃしていた長男はノアを殺そうとし、「俺には女はいないのか、俺にも女を!」と暴走していた次男もノアを殺そうとし、あれっ、そのとき三男はなにを? 「長男は肉欲、次男は愛欲、三男は自分勝手」と父に査定されていた三男はやっぱり自分のことしかしてなかったのだろうかしらん。ともかくも、野趣あふれる家族の超ブラック家族崩壊がみられるのが映画の後半です。「なんだこれ!?」とあきれるアタシは、ラストに「しょうがない夫ね」「産めよ増やせよ」でとうとつにまとめられたって、気持ちがついていかねーぜ。
ラッセル・クロウアンソニー・ホプキンスら名優が熱演すればするほど、スペクタクルな映像に迫力があればあるほど、陳腐さが際立つ逆効果。人間を描けていない結果、どの登場人物にも感情移入できなくて、まあ、ぺらっぺらっ。薄いったらない。つまんなかったああああ。お目当てのエマ・ワトソンはかわいかったけど、まあ、それだけ。唯一の拾い物はノア長男が美形だったことぐらいだな。
旧約聖書における箱舟の壮大で厳かな事業というイメージを見事にぶっこわされたアタシはクリスチャンじゃないから別にいいんだけれども。「人類の完全せん滅計画でありノア家も絶える予定だったはずがノア家都合で遂行し損ね人類が生き延びた」という聖書解釈は、キリスト教信者的にどうなのかしらと少し心配にもなりました。