本日のよろこびごと。(811)


シネマニア BGMが マタタビに(喜)
ドラマ初回の感想〜♪

  • 『独身貴族』

お気楽にみられて結構面白かったわん。
ストーリーは単純で展開もベタ。20分30分先の展開が読めて、まるで自分が未来を予知しているような気分に。それでも意外と面白いなと感じられたのは見せ方がよかったからだろう。
往年のスクリーンミュージックをふんだんにBGMとして使用することで居心地のいい鑑賞空間を作りだし、星野家の室内装飾や小物使いで心くすぐり、デヴィ夫人や絶句もののカタコト外国人モデルの起用によってアラ探しの気勢をそぐ。それが計算されていたとは思わんが、演技や演出や脚本やらについて評価するのがしちめんどくさくなって、「うん、このドラマなかなか素敵じゃん」という楽な方へと己が流されてしまった気が。
もちろん読めない展開がないわけではない。「え、そんな理由で号泣かよ!? ただ草なぎ氏に得意の泣き演技をさせたかっただけじゃないの?」とか「なんだお前ら兄弟かよ…ちっ残念。ゲイカップルの共同経営者にしとけよー」とか。ところどころに。
キャスティングがストレスフリーだったのもよかったね。
草なぎ剛は泣くか怒鳴る以外の感情表現をあまりないし社長に見えないが、独特の空気感で視聴者をたぶらかし、こういう人いるかもと思わせてしまえる稀有な才能がある。ヒロインの北川景子は嬉しくなる綺麗さだし、自然な芝居をしていた。伊藤英明の肉体美は楽しいし、空気を軽くする気楽な存在感。その周囲を固める脇役陣にも演技派や渋いのや通好みのを揃えてて実はかなり豪華だ。多少違和感を感じても、イラッとさせられる人が居ないのがこんなにありがたいこととは。
激動で波乱万丈でハラハラなドラマは楽しい。それこそドラマだ。でも現代社会に疲れた心には、土壇場でピンチを飄々とカワしつつ、なんとなくいい感じで生きて恋してる遊民たちのバブリーでベタなドラマがひとつあっていいのかも。このドラマ、ぬるっとダークホースとなるやもしれん。