本日のよろこびごと。(775)


ガリレオで 砂の器の 和賀想う(喜)
クソ暑いので涼をとりに映画館へ。見たのはガリレオの映画版。先月まで放送してたテレビ版(新作)は1回もみていないのだけれどもね。感想をメモ程度に。

原作既読ゆえ大筋も犯人もわかったうえで鑑賞し、丁寧に真面目に作ってるなという印象。湯川が無意味に方程式を書きなぐるお約束がなかったのも、評判の悪かったらしい吉高由里子のキャンキャン声が抑えられていたのも、お笑い要素を排除していたのも好評価。
福山雅治、実は特にファンという訳じゃない。だが、視聴しながらずーっと「やっぱかっけー」「すげーかっけー」と頭の中で繰り返してた。立ち居振る舞いすべてが計算されつくしている。かっけーうえに芝居も巧い、そして意外と声がいいんだなということに初めて気づいた。いまさらすぎか。
子供と福山の組み合わせがこんなに合うことも意外だった。子供に触れるとじんましんが出る湯川准教授が本作の少年にだけは平気で、なぜだろうと首をひねる。「理科なんて何の役にたつんだよ」とうそぶく少年をアッと言わせてやろうとハリキリ、友情めいた感覚が芽生え、やがて見守る共犯者へと湯川が変化していく過程がエピソードを通して無理なく描かれている。事件そのものよりも少年と湯川の成長譚の部分の方が見ごたえがあるかもしれない。『そして父になる』を疑似視聴させてもらった感があり、そちらもより楽しみになった。
事件は暗い。映画前作の『容疑者Xの献身』も相当暗かったが、こちらもなかなか(Xのほうが暗いけども)。発端から事件から結末まで救いようがないし、愛情からの思惑がことごとく裏目にでる展開。登場人物らの今後に思いをはせるとしんどい気持ちになる。新たな火種となりかねない多くを積み残したまま映画は終わってしまうのだから。あの感受性の強い少年は長じてどうなるのだろうか。忘れっぽいといいなぁ。准教授の研究室に入って、渡辺いっけいとともに振り回される日々を送っていたらもっといいなぁ。
映画から得られた教訓は、ふたつ。人の秘密につけこんで金を強請る性質の人間がいたら、周囲はどうしたって不幸なことにしかならないのだから、とっとと秘密を秘密で失くしてしまうほうがいいということ。そして、刑事が己が納得できないからと1人で動いて過去の事件を穿り返すと碌なことがないだから、やめておけということ。『砂の器』でもそうだったよね。頼むから、やめておけ。そっとしておけ。頼むから。