本日のよろこびごと。(673)

『最強のふたり』


最強のふたり』と『アルゴ』 当たり年だわ(喜)
昨日のレディスデーで見てきた映画の感想〜♪

首から下が麻痺した富豪と、その介護に雇われたスラム育ちの若者の交流をコメディタッチで描いた秀作。富豪は、自分を障碍者扱いするくせに同情をしないそんな若者の乱雑で砕けた人当りに心地よさを覚え、偏屈な心をほぐされていく。若者もまた紳士と生活することで自分の居場所と真摯に向き合おうとしはじめる。
期待通りに良かった〜♪
冒頭、まず音楽の入れ方が秀逸なのに「おっ」と思う。そのあとも音楽を効果的に使っているシーンがあるのだけれども、物語と調和しあっていてホントにしっくりくる。演出もいい。ウイットとウェットの比重、人間関係の意外なドライさなどもふくめて、よきフランス映画らしさが横溢してる。シャレてて諧謔みもあって面白い。
ハリウッド映画だったらもっとお涙ちょうだいにするし、邦画なら誰かが感情的になって自分語りをはじめたりラストを深追いしすぎたりするんだろうな。そういういらんところがないとこが、ホントにちょうどいいんだ。正直いうと見てるときは、ちょっと物足りなさを感じたりはしたけれど…。もう少し盛り上げてもいいじゃんとか、もう少し説明してくれてもいいじゃんとか。でもその足りなさがまた、見終えて反芻するのにちょうどよくなるようにできてるんだよなぁ。
主演の二人も最高。
黒人青年オマール・シーの流麗さ、かっこよさといったらたまらん。ヒューマンというアニマルの美しさだよ。そこだけでも一見の価値がある。そこへ外連味のないいい芝居が乗っかってくるからいうことなし。たまんねー。
車椅子の富豪フランソワ・クリュゼは、首から下が完全にマヒしているという設定上、顔の表情だけですべてを物語る。とてつもなく饒舌に。
二人とも全部いいけど、特に目ね、目がすごい。
共演者もキュートだし、実話をもとにしてるということで物語に深みも加わってね、そりゃあもしかしたら障碍者を抱える人が見たら、その苦労はこんなもんじゃねーよ!って目くじら立てるかもしんない。演出でリアルじゃねーだろって所があったとしても、これは映画だよ。ちくしょー、いい映画作りやがったなーって思ったほうが楽しいじゃん。
2012年のラストがこの映画でよかったなと心底思えたので、今年の映画はこれで打ち止め。
ハリウッドでリメイクが決定してるそうだけど、誰がどうやったらリメイクできるのかアタシには皆目見当がつかん。