本日のよろこびごと。(645)


時代劇 命の軽さに 肝冷えた(喜)  
今日も連ドラ初回の感想〜♪

  • 『大奥〜誕生 [有功・家光篇]』

面白いっちゃ面白いが、エグいわ、残酷だわで肝が冷えたよ。二宮主演の映画版とはだいぶテイストが違う、シリアスなつくりだったね。
有功(堺雅人)の、
「遊んじゃいましょうか」
から始まる遊女とのしみじみとした交感シーンでは、事の理不尽さをユーモアをもって良い面を探して受け入れて行こうという有功の姿勢が見られて良かったな。とホッとしかけたら、さっと襖が全開し春日局がいかにも黒幕然としておわす。
ひー!
場の空気は一転、そこからは怒涛の重苦しさ攻撃に。
ひどい、ひどすぎる。あ、酷いってのは春日局のやり口がね。
人命の軽さや身分の区別による理不尽さこそが、時代劇の彩だからとある程度覚悟をしていた。とはいえ、いきなり「では右の坊主から」の春日の一声で惨殺されたのにはビビったわ。まったく心の準備ができていなかったもん。さらに「次はその女」
いやあーっ、もうやめてーーっ!
己以外の人の命を盾にされたらもはやこれまで。還俗の覚悟を決めて遊女との涙の褥(しとね)で枕をかわす有功。ううっ。
演出は悪くないと思う。ただし、少しばかり後追いが過ぎるキライがある。
春日「女たちは?」
側近「すでに」
この台詞だけで居合わせた遊女らのその後の定めは明白に視聴者に伝わったろうに、亡骸を映して念押しするのは描きすぎ、趣がない。話がエグイのだから、せめてもう少し行間で想像させることによって品を出してほしい。エグさが売りの昼ドラマじゃないのだから。
堺雅人はやはりいい役者だ。整った容姿とはいえ男女ともに惚れ惚れするほどの美丈夫ではないし、「若い男」を連呼されるほど若くもない。そこを演技の説得力によって底上げし、やはり彼で良かったと思わせてくれた。拉致された時点の有功は何歳設定なんだろう? 時代劇は役者の実年齢とかけ離れててもよしとされているから、たぶん10代なのかなと予想。
最後まで登場をひっぱった家光役の多部未華子も、複雑すぎる境遇と現況による精神の不安定さ、生来の気の強さを短時間でうまく表現していて、やはりそんなに美人じゃないけれど(ごめんね〜)彼女で良かったと。
旬によらず、きちんと芝居ができる役者を揃えたところに好感がもてる。こういう変なドラマはそこをちゃんとしないとコントになってしまうから。春日局役の麻生祐未の否やを言わせぬ凄味はもちろんのこと、意外に良かったのが有功に付き従う小坊主・玉栄役の田中聖。でも彼の芝居勘のよさは『特急田中3号』でアタシはちゃーんと見抜いてたもんね←これ自慢。
物語の派手さに比べて地味目の役者陣が吉と出るかどうか。それともう少し息を抜けるユーモアや明るさが欲しい。堺さんならそれができると信じてる。