本日のよろこびごと。(484)


揺さぶられ うまく書けない はがゆさよ(喜)
昨日のドラマの感想を書くね。なんか気持ちが揺さぶられすぎてまだ落ち着いてないけども。

毎週濃度の高いドラマで呆れるが、今週もさらに詰め込み。ただしやや盛り込みすぎていて少し散漫になったかなの感もあり。それでも何度か泣かされそうになりました。
大筋は2つ、ウララの反乱と、ミタさんの堤防決壊。そこへクズ父との三角関係が輻輳する。視聴者がクズ父とどちらの女性がくっつくべきなのかを真剣に悩み始めたところで来週へ。
うーん、ミタとウララどっちかなぁ。
ミタの幸せを一番に望む自分は、ミタがアスダ家の家族になればきっとすごく嬉しいいっぽう、安易な大団円にがっかりもしてしまう。クズにミタはもったいない。彼女ほどの傷心を抱えた女性をその腕の中で安住させてくれる包容力がこいつに果たしてあるだろうか。あるわけがない。亡夫と息子の幻影はクズ家とはまるで違う、ほのぼのとした安らぎと穏やかさに満ちていた。もちろんミタの心の中に焼きついた幸せのワンシーンであり誇張されているのかもしれない。実際にはガキがワーワー喚いて手を焼かせ、「ちょっと静かにしなさい!」「お母さんなんか嫌いだ!」でイラついて洗濯物を放り投げるミタ母とか(ただそれすらも“家族の幸せ”の姿ではあるが)、旦那が仕事の苦悩を家庭に持ち込んで…いや、持ち込んだとしてもあの旦那ならクズな展開にはならなさそうだわ。誠実で善良な夫。義弟のよこしまな気持ちにどうしようもないところに至るまで気づかない、性善説な男。
ただしある一点に関してのみクズ父は前夫に勝るところがある。己がクズであるということを自覚したところからリスタートしているという強みだ。ゆえに人の弱さを敏感に知覚し、寛容してしてしまえる。ミタの傷だらけでぼこぼこの穴を埋めるのは平らな心の持ち主よりも、でこぼこ男のほうが。ならばやはりミタはクズ父と…。
いやいや、ちょっと待ていっ!
まずはミタさんの気持ちが大事だろうが。確かに遊園地で、
『ごめんなさい。あの人たちを愛してしまっている』
と白状したとはいえ、この愛は男女間の愛ではない。母性と親愛の情であると思う。もちろんそこから始まる愛はあるっちゃある。でもさー…。
そんな視聴者の葛藤の逃げ道がウララの存在なのだ。『家政婦のミタ』というドラマが安易なラストへなだれ込まず、良質なままでいられるための錨となる。
『アタシが好きな人は、あなたなの!』
ついにクズ父へ告白してしまったウララ。クズ父は当惑しながらも、わずかにまんざらでもなさを口元ににじませる。まさにこれこそがクズたるものの許容量の大きさ。なんでもありなのだ。クズにはモラルも国境もない。ウララ葛藤の最大要因たる『一番好きになってはいけない人を好きになった』というハードルも簡単に超えてしまうことだろう。
ミタとウララとクズ父。その3者にとって希望ある結末になることは間違いなかろうが。
さて話を戻して、今週のアスダ家族とミタについて。
家政婦になにかをしてもらったときに、いちいち『ありがとう』を忘れないアスダ家の面々がとてもいい。家族を見守るミタの表情も声の出し方も、明確に変わっている。いままでの調子を取り戻そうと虚勢を張るミタと、それがわかったうえで接する家族。優位に立っていたのはミタだったはずなのに、いまやそれが逆転している。
遊園地でミタは、彼らへの愛情ゆえに禁忌を破ってしまいそうな己への罪悪感で1人涙する。しかし1人でいると、誰にも見られていないと思ったのに、ふと我に返ると目の前に!?
あれ、びっくりしたわぁ〜。まさか居るなんて。っていうか、そこでタメというか気配がいっさいなかったもん、完全なる不意打ち。もう少しひっぱってもいいのにと思う視聴者を蹴散らして、ひっぱらないところがこのドラマの他とは違うところだね。
『俺たちが全部食ってやるから!』
いい子たちだーー(涙)
横並びで家へ戻るシルエットは完全に家族の情景でした。キイちゃんの歌に合わせて唱和する。ミタさんの歌声にも控えめに音程が(笑)
『それはもうアレしちゃえば』
と家政婦紹介所のババア。いつものようにわけのわかんない説得力で諭されて、とうとうミタは家族の問題に大きく踏み込むことを決意。それも、
『お母様は自殺ではありません。事故です』
という超・理論を引っ提げて。アスダママが憑依したとしか思えないミタ語りに、ちょっとやりすぎでは? しかしミタの菩薩のような慈愛にみちた表情に、こわばりが溶けうっとりと聞き惚れる。松嶋菜々子おそるべし。これほどの山場を中盤で消費してしまうのか、やりおるわい、などと斜に構えて視聴してるつもりが、ううっ、のどがジンジンしてきた、アタシ泣きそう…。
『でも母さんは自殺したってみんな知ってるよ』
『他の人は関係ありません。それはあなたたち家族が決めることです』
シャッターを下ろすときの宣言だったはずのフレーズがここへきてカチッとハマり、ゾワッと鳥肌。すげー…。
母は自殺ではない。遺書を燃やそう。
『ミタさん、ライターある?』
『あります』
数か月前ならば嫌なことをすべて家政婦に押付けていた彼らが、率先して自分たちでやる。変わったもんだ。ずーっと見守ってきた人たちの成長をこうして見ているウレシサ。そしてミタからの花丸&『たいへんよくできました』のご褒美。ちくしょー、心憎いにもほどがある。
そこへウララの影が差し、三角関係らしき描写に、えっ、このドラマってそういう話だったっけ?
予告煽りの巧みなこのドラマで、来週は見たくないなぁと予告を見て初めて思った。ミタが“母親”を意図的に暴走して演じることでアスダ家から疎まれるようにしむけるのではないかと、疎まれるミタを見るのが怖いから。最期の山を乗り越えた先に彼女の笑顔があるのだとしても、胸が痛むのです。
でも見る。