本日のよろこびごと。(441)


宗谷でも 先入観の 氷砕けず(喜)
さー、ドラマの感想だっ。

えーと、自分は“キムタク”が好きではないんで、そこんとこ割引いて読んでくださいませ。
何年振りかなぁ、木村拓哉主演のドラマをちゃんと見たの。演技が肌に合わなくて、どーしても拒絶反応がでちゃって。
本作は『JIN』のスタッフが参加しているし、真摯にドラマを作る人たちの作品にはこちらも姿勢を正して参加しなくてはという気になり、テレビの前で正座して2時間視聴、残念ながら“キムタク”の先入観が邪魔をして楽しみきれず。
彼は若手の中では芝居が巧い、というか、そつなくこなすほうだ。勘がよく、器用だし、仕事に取り組む姿勢も真面目、声や滑舌にも大きな問題はない、そして二枚目。これだけそろえば非の打ちどころがないはず。となればあとは見る側、つまりアタシの問題だよね。
じゃあ何が肌に合わないのか?
キムタク流セリフ回しのクセかな。鼻で笑う感じ、言葉に息が混じる感じ、あれが、もー、すごくイヤ。でたら速攻チャンネル変えちゃうレベル。でもそれは本作ではかなり抑制されていたようで、なんとか見続ける。短髪、体重増という役作り上の汚しもいれて、なかなかやるなとさらに見直す気持ちにも。ただしそれでも、意地悪な先入観ってやつが小さなアラを探してしまう。光の加減でわずかに茶色みを帯びた頭髪だとか、顔(眉毛か?)の昭和っぽくなさとか、知性や教養をにじませない口調の甘えとかを探して、「やっぱりな」と。ほんと、困ったもんだ。
ただそこを割り引いたとて、重厚感がハマる役者ではないと思う。演技質が軽やか、スムーズ、明朗。つまり、なんだか軽い。ドラマを見ている間中、
「ああ、主役がほかの人ならすんなり見られるのに」
でもわかってるの。この不況化で巨額の予算(っていくらか知らんが)がついて、映画が何本も撮れそうなキャストを一堂に会したロケしまくりの大作を連続テレビドラマでなんていう時代錯誤な企画が通っちゃうのは、すべて“キムタク”ゆえであるってこと。だから他の人ならと思うこと自体が最初から見方として間違っておるのだってことも。
ああ、作品の中身とあんま関係なことでこーーーんなに書いちった。少し中身にも触れておかねば。
戦後10年、敗戦国となった日本は賠償と復興で国民生活が逼迫、世界における地位も低かった。そんな国家的苦境下において、国民に夢を与え、かつ、世界で一人前の国家として認められるための一大プロジェクトとして立ち上げられたのが南極観測隊派遣であった。
などと、書き出してはみたものの、実は途中で退屈しちゃったんだよね。だからあんま書くことないの。ちょっと面白くなってきたかなと思うと、また「すっ」と気持ちが冷めるような演出がはさまって、アップダウンを繰り返していて、すんごくハマるほどでもないまま初回視聴終了。
北海道での犬探しあたりは、やや盛り返して面白くなったなと思ったところ。タロとジロがでてくると「やっと来たな」だし、リキのリーダーシップの目覚めなどにもワクワク、「リキー、生きて還ってこいよー」。ただ、そこでもこれ見よがしの芦田愛菜ちゃん(最近は痛々しさを感じて直視できない)で「すっ」と冷める自分。本田、ソニー竹中工務店のくだは胸熱。宗谷改修工事で技術者が結集してくるくだりも悪かぁなかったが、展開がお約束すぎ。子供が小銭を持ってくるところとかもね、なんだかなぁ。大事業における困難に対してその解決があまりにも簡単にトントンと行き過ぎていて感動まで心が温まらない。もう少しタメが欲しい。なのに演出と脚本が、ぐいぐい感動しろよと波状攻撃をしかけてきて、うーん。JINのときも似たようなところがあったけれど、JINではもう少し心を冷ます時間があったように記憶している。2時間に情報を詰め込み過ぎたのかもね。退屈させないためだろうけど、裏目
主役至上主義も冷める要因。それはアタシがNHK大河ドラマを見なくなった訳と同じ。主役がなんにでも顔を出して、自分の手柄にしちゃうとつまらんね。さらに演説をぶちかまし始めると一気に心は氷点下。観測隊中止の報に動揺する会議室でいきなり話の中心になるキムタク、出港する船から演説をするキムタク。
綾瀬はるかは『JIN』とほぼ同じ。あっちがああいうラストだったので今回はほんわかに末永くと願う。主役をなぜか目の敵にしているダーティ堺雅人がなかなか楽しい。観測隊に飛び入りした彼が今後どんなツンデレを見せるのかというのは一つの見どころになりそう。観測隊のなかでは、宗谷のタラップでラーメン屋の暖簾を降ったデブ担当がいい味付けをしそうな予感。
初回は「もういいから、早く南極へ行けよ」とだいぶ焦れたが、来週からは南極観測隊の苦闘が描かれるようでそれなりに期待できそう。キムタクのヒーローものにならないでいてほしい。