本日のよろこびごと。(440)


三角の 構成要素が イマイチで(喜)
今日もドラマの感想っ〜。

  • 『蜜の味〜A Taste Of Honey

ナオコ(榮倉奈々)は叔父マサト(ARATA)への思慕から、彼の勤務する大学病院の医科へと進学を決め上京する。マサトとのハッピーな生活を夢想して勝手に盛り上がっていたものの、マサトにアヤ(菅野美穂)という婚約者がいると知り嫉妬の嵐。三角関係の泥沼化へずぶずぶ…みたいなストーリーかしらん。脚本は大石静さん。
初回からかなりドロドロ、音楽もおどろおどろしいし、なんか怖かったっす。
三角関係の各頂点を構成する人物像について。
ナオコ(榮倉奈々):医学部の1年生、田舎育ちの純朴な娘の風体を装いながらも実は思い込みの激しい粘着質な一面を持つ、つまりはストーカー気質ってこと。叔父への禁断の恋に戸惑う10代少女のはずなのだが、キュンキュンポイント皆無。それどころか、うわー、何この子、こえー、ぞぞぞぞっ。
アヤ(管野美穂):マサトの医大時代からの元同級生であり婚約者、病理学医。育ちのいい聡明なお嬢様らしく分別くさい振る舞いを見せながらも、恋人をかばって教授にたてつく肝もすわっている。『そろそろ結婚しようか』とベッドで切り出すマサトに、結婚よりも今は仕事のが大事と言い切る余裕綽綽っぷり。ここまでなら、ただのイイ女。
(そいやさ、開始20分も経ってないころの菅野ちゃんの濡れ場にはびっくりしたわぁ。女優さんなんだからたまにはそーいうのもやるだろうけど、いきなりだったし、なんとなく彼女はエロティック路線にいる人じゃないと思っていたので、親戚のおきゃんな娘のいけないものを覗き見しちゃった気まずさを感じちまいました)
マサト(ARATA):外科医。スラリとした長身で優しげな口調、悪意というものがない人物のようだが、あまりにも覇気がない。正直、ナオコとアヤが奪い合うターゲットにしては魅力が乏しい。俳優ARATAを否定するわけじゃないが、エキセントリックな役でなければ魅力は発揮できないのだな。現時点ではミスキャストとしか思えない。
奇しくも彼のセリフに、
『(才色兼備のアヤの彼氏が)なんで俺なのかな?って言われる。自分でもそう思う』
だよねぇ。あるいは、回が進むにつれて彼も内なる狂気を見せて壊れていくがゆえのARATA起用なのか。それならばわかるが。
さてこの3人をどう絡ませるかというと、初回から陳腐な“偶然”を多用しまくっていましたねぇ。
街のあらゆる場所でこれでもかというほど偶然にすれ違いまくり、見たくもないシーンを目撃し、その際には至近距離で障害物もないのに見られている方が気づかない(or 気づいて視線で火花バチバチやりあう)というやつね。三角関係の登場人物は、互いのテリトリーがやたらと重なっているうえに、行動半径が狭い。こうした手法は多用すればするほど古くさく安っぽくなっちまうと思うのだのけれど、気にしちゃいけないのだ、きっと。そうなのだ、きっと…。 
さて、いろんな“偶然”のあげくに、ある日はたまたま公道で怪我人に遭遇したナオコとアヤ。ナオコはアヤの存在に気づいているが、アヤはそうではない。医学生ナオコと医師アヤの対比の構図、ナオコは、テキパキ処置をするアヤの姿を遠巻きにみていることしかできない。じりじりとした射抜くような視線で。適度な気づかい、医学的処置の素早さ、的確かつ俊敏な判断と周囲への指示、アヤの手際はまるで別ドラマ『ER』のような良さでムカつくぐらいにかっこいい。完璧すぎる。目を血走らせて睨みつけるナオコ。
さらにナオコのメラメラ度をアップさせるためにもうひとつの偶然が畳み掛ける。“たまたま”119への電話がかからないシステム障害が発生している最中で救急車がすぐにはこない。やむを得ずアヤは外科医である恋人マサトを電話で呼び寄せるという強引な展開に。二人が仲睦まじく協力する姿を見せつけられて、さらにヒリつくナオコ。患者を病院へ送り出して一仕事を終えたアヤが恋人マサトの胸元に顔を寄せて安らぐひとときもしっかりくっきり目に焼き付ける。
この時点でナオコには勝ち目なしだなと視聴者はひとまず判断する。
ところがである。
マサトは暗がりに立ちすくむナオコの存在に気づく。
『いたのか?』
そこへ冷や水を浴びせるアヤのひとこと。
『ああ、あの子、アタシが失敗するのを待っていたのよ』
ええっ、あんた、ナオコが居るのを知っていたのっ? おくびにもださなかったじゃないの。こいつも、こえ〜、ぞぞぞぞっ。このとき、視聴者の心はアヤからそそくさと離れて、中立へと戻るのである。
さてと、こうなってくるとナオコとアヤどちらへ肩入れすべきだろう。というか、誰にも共感できないし、誰にも肩入れしたいと思わないのだが。