本日のよろこびごと。(427)


箱の中 開けてびっくり 開けてがっかり(喜) 
あの衝撃作『アイシテル〜海容〜』の続編をやってたので見ました。

キヨタン事件の20年後が、加害者トモヤ(向井理)の弟(岡田将生)視点で描かれる。高校生になるまでなにも知らされずにまっすぐに育った弟は、慕っていた兄が殺人犯だと知り、妨害や嫌がらせにも巻き込まれ一気に荒んでいく。だがそんな時期に出会った老人とその孫娘に少しずつ心を癒されて…単発ドラマ。
ってか、なんで20年後かなぁ? 連続ドラマでじっくりと描かれていた世界観をすべてチャラにしちまって、全く別の話じゃん。加害者はあのトモヤでなくてもいいし、被害者はキヨタンでなくてもいい。最終回の加害者家族と被害者家族がニアミスするシーン、そしてトモヤの笑顔でほんわりと包みこまれたあの和解と寛容の空気、『海容』という言葉の意味合いがエンディングとともにじんわりと浸透していったあの一種宗教的な恍惚が物語のどこからも感じられなかったのが残念でならない。
加害者家族のその後の葛藤ならば『それでも、生きてゆく』でエグイほどに描かれたばかりで、どうしても比べてしまう。役者の力量も熱量も違いすぎてまったく勝負になっていなかった。かさぶたを少しずつ剥がし膿んだ傷口をあらわにしていく手法で薄気味悪さと痛痒を共感させていたのに比べ、『絆』はお話が皮膚の表面を軽くなでていっただけ。
連続ドラマで何時間もかけてじっくりと描き感情を熟成していけるのと違って、彼が荒れていくのも唐突だし、癒されていく過程も拙速だった。時系列を入れ子にしたり、回想シーンで繋いでいったのも弟の感情にハマれなくなる一因。ゆえに当然、クライマックスであるところの兄との邂逅シーンもいまいち盛り上がりに欠けた。
岡田将生向井理、がんばってたけどもね…どちらも顔は良いのになぁ…鑑賞用ってことかしらん。
とはいえ光るところがないわけでもない。美大の友人役をしていた役者はひとりだけ飛びぬけてぞっとする質感があった。視聴中は気づかなかったが彼は『下流の宴』で無気力バイト青年をやってた窪田正孝でしたか。ちょいと頭のネジがはずれた青年をやらせるとめちゃうまいなぁ。普通の役も見てみたいが、彼を普通に使うのはもったいない気もする。