本日のよろこびごと。(412)


迫真と 言うかなんとも すごすぎた(喜)
昨日あまりにもすげーもんを見ちまったもんで、どうしても書きたい!と突き動かされたドラマの感想っ。

えーと、これ初回を見てからあまりの重苦しさに見る気を失い放置してたのね、それがなんの気の迷いか昨日チャンネルを合わせたら、あまりの急展開ぶりに「なんじゃこりゃ!」と最後まで釘づけに。
10数年前の殺人事件、その被害者兄と加害者妹が出会い惹かれあってしまったために、結果互いの家族の運命が狂っていくさまを描いた(たぶん)人間ドラマ(実態はホラー)、というのが初回を見ただけのアタシなりの認識。演技派勢ぞろいで渾身にドロドロじめじめさせていく徹底ぶりは相変わらずでした。
8話冒頭、暴行を受け病院に運ばれた女(佐藤江梨子)、彼女は出所後の加害者フミヤ(風間俊介)が暮らしていた果樹園農家の娘で、フミヤとは結婚をしていたもよう。女は昏睡のままおそらく死亡(?)。病院へは、女の家族だけでなく、なぜか加害者父(時任三郎)、被害者兄(瑛太)弟(田中圭)も駆けつけていた。って、こいつらはなんでいるの? と思うが気にしちゃいけない。このドラマの隠れキーワーは”何故か居る”なんです(笑)。
さらに加害者妹フタバ(満島ひかり)までもが絶好のタイミングで現れ、女の父(小野武彦)の神経を逆なで。初回で柄本明を狂わせたフタバに(って彼女はそこに居るだけなんですがね)、それまで穏やかさを保っていた小野武彦
『あんた娘がいるのか? あんたの娘かっ。お、俺の娘を返せ―!』
感情を一気に噴出、それを全身で受け止める時任三郎。ベテラン勢のせめぎあい。横に、ちゃっかり映りこむ暗い瞳の満島ひかり
満島演じるフタバの、あちこちに現れては場を荒らす特殊能力は健在です。
この後、車道をふらふら歩く自殺志願の時任、それを助ける瑛太などのシーンもよかったのだがそこは置いといて。
湖畔で釣り屋を営む瑛太の家、そこには“なぜか”瑛太の実母(大竹しのぶ)の姿。はて、彼女は再婚して別の家庭に入り瑛太と縁切りしていたはずだが…ま、いいか、たぶんいろいろあったのね。そこへ“なぜか”瑛太弟の嫁と娘(遊びに来てたのか?)が帰宅する、バス停で一緒になり案内してきた客1名を伴って。
この客が、なんとフミヤ。そう、かつて大竹の娘を殺害したあの犯人ですな。
気づいているのか、いないのか、互いに客と留守番を装いしらじらしい会話をかわしてみせる4人。なんの疑いもない嫁は、娘をフミヤに抱かせたりする。しのぶの顔が微妙におかしい。漂う緊張感。そうか、気づいているのだな。釣り道具を確認するふりをして家の奥へ引っ込んだとたんに、
『ひー、ひー、ひー!』
過呼吸の発作を起こし床へくずおれる大竹しのぶ。視聴者は彼女の過呼吸によって酸素を奪われ、逆に息ができなくなる。さあ、ここから“天才憑依役者・大竹しのぶ劇場”のはじまりだ。迫真という言葉はまさに彼女のためにある。
嫁と孫を奥へやり、再びフミヤと対峙する母・大竹しのぶ
『あ、(客帳に)お名前を書いてもらえるかしら』
『はい』
おそらく書かれたのは偽名。しかししのぶの口からは、
『フミヤクン…ね』
ここで空気が一変。(やっぱ気づいてたんだ)(気づいてたわよ)みたいな。うわ、こえー。
『なんであの娘を殺したのっ!』
『わかりません。わからないんです』
徐々に興奮の度合いを高める大竹に対し、フミヤは淡々とした口調を崩さない。
『なにも覚えていないんです。でも湖に浮いてたあの子の姿は綺麗だったなぁ…』
と遺体を愚弄することをうっとりとほざく、殺人に対する罪悪感を持ちえない、生まれながらの異常殺人者。
悲鳴をあげ、掴みかかる大竹しのぶ。最初はハエを追い払う程度に抵抗するフミヤ。やがて、本気の殺意と殺意がぶつかりあう、くんずほぐれつの取っ組み合いに発展。そのくだりは長く壮絶で、まるで女殺し油地獄
とにかくここがすごいんだけども、ああダメだ、もう書けない。あまりにも映像が強烈過ぎて、大竹しのぶ*1の魔力の前に力尽きました。

*1:※同時間帯に、ラジオでは大竹しのぶオールナイトニッポンを放送中。元旦那とゆるい会話をしていたとか。なんちゅーか、すげー以外の言葉がない…