本日のよろこびごと。(411)


完結の 意味を知らずに 蜩が鳴く(喜)
ひさびさにドラマの感想。といってもBSの海外ドラマっ♪

英国BBS製作、全3話完結、BSプレミアにて2011年8月22日〜24日
言わずと知れたコナン・ドイルのホームズ設定をそのまま現代に置き換えた(ストーリーは少し変えてるかも?)、英国BBC製作のミステリードラマ。
こんなに自分好みのドラマをやっていたとは。気づいたのが最終の第3話もすでに半分終わった時点、我ながら不覚。どうしよう、どうせなら最初からちゃんとみたいが…でも見ちゃった(笑)
スマートフォンをいじり、テレビを見る現代版のホームズだが、造形はそのまま。ホームズといえば英国グラナダTV製作のジェレミー・ブレットの容姿で刷り込まれていてそれを凌駕するのは容易ではない。本作のベネディクト・カンバーバッチはやや若く、青臭さを感じさせるところがこれはこれでイイなと思う。「自分には感情がない」と突き放したことを言ってみるものの、ワトソンに「そんなことないよ」と“俺は知ってる”ヅラをされて当惑しながら満更でもなさげなところが可愛らしい。細身の長身、神経質かつ自信ありげな二枚目ならば大概はまるもんだね。さほど抵抗感なく視聴すぐに受容。
助手ワトソン、レストレード警部を従えてテムズ川畔に佇み、死体の様をつぶさ観察し、その身体的特徴や服装からたちどころに被害者の職業を滔々と言い当てるさま(しゃべりまくり!)の胡散臭さは、いかにも!な感じで思わず喝采し、その異常な自信家ぶりにはうっとりもする。だが惜しむらくはベネディクト氏がたまに角度によって、
「あれっ、あんまりイケてなくね?」
そこを吹き替えの三上哲の甘渋な声が二枚目度を補てんする塩梅。やるなぁ。
倫敦の路地の暗がり、人影の効果的な多用、猟奇と伝奇の混入、ほどよい古めかしさ、音楽や絵作りに神経がいきわたっていて雰囲気に引き込まれる。これぐらい上質な作品ならば地上波で放送してもよかろうに、なんでBSで?
と思いつつも話は佳境へ、 
「おっ、でた、モリアーティ! 正体はお前だったのか!?」
しかし残念ながら、最初から見てねぇから意外性にピンとこず。やはり途中参戦したのはもったいなかった。
最近のホームズ作品ではそれがデフォルトなのか、かなりあからさまなホモ風味を盛ってたのが面白かった。モリアーティはゲイ(のふりをしてた?)と自分で告白し、ホームズとワトソンも、
W『暗いプールで君に服を脱がされているところを見られたら、言い訳聞かないだろ?』
H『ふふっ』
などと意味深な会話でほくそ笑む、ってどういうBLだよっ(喜)<以下、軽くネタバレ>
さてラストではワトソンを人質に取られたホームズがモリアーティの罠の中へ単身乗り込み二転三転どうなるのか、という見せ場。ところが、
「えええっ、ここで終わり? え、今終わったの? なに、なんなの、終わってねーじゃん。明日もあるの?」
慌てて公式HPで再確認するも、やはり今日で完結であった。
「つまりどーいうこと?」
そうなんです、完結しなかったんですわ。主導権を獲りつ獲られつする好敵手たち、終いには互いに銃口を向けあったままの逃げ道なしの絶体絶命というイイところで、いきなりEND。
おいおい待てよ。リドルストーリーのつもりかね。そりゃまあ、ホームズvsモリアーティは原作でも谷底に諸共落下したと匂わせていったん完結したものだったが*1、ドラマは落下に匹敵するオチのさらに一歩手前で寸止め。撃ったのか? 撃たれたのか? 爆死したのか? それさえ不明。せめてあと10分は先まで見せて欲しかった。
たぶん、生死不詳を原作に倣ったのだろうが。やっぱ、消化不良だよぉ〜。

*1:そのあと“実は生きていた”パターンで強引に再開