本日のよろこびごと。(374)

東電株主総会


壇上に 並びし東電の ぬらりひょん(喜) 
東京電力株主総会へ行ってきたよ。
到着は開始30分後の10時半、すでに会場は満員。例年3千人ぐらいの参加者が今年はたぶん1万人ぐらいいたんじゃなかろうか。
会場はザ・プリンス パークタワー東京の地下2F。ホテルゲート付近に多少テレビカメラあり。第一会場(3千人ぐらい収容可能)はすでに満席、第一会場へ立ち入るための複数ある入り口も満員電車のように人がむらがり、のぞきみすることすらかなわず。
中継用のTVが置かれた大・中会場が他に4つ。廊下、給茶スペースいたるところにもTV。なので場内の議事進行を見られることは見られるが、とにかくどこも人人人。中継用の会場ですら立ち見多し。座らせてくれ。
長々と事前質問に対する回答の読み上げが終了し、ようやく会場内株主からの直接質疑応答が始まる。
最初の質問者は弁舌の達者な男性、2009年に福島第一原発1〜3号機の廃炉を提案したが却下されたと。ほおっ。次の質問者は高齢男性、だんだん興奮してきたのか口跡が怪しくなり、
「原子炉に入って死んでください」
と激昂。気持ちはわからなくもない。続いて中年女性から、男児よりも女児における放射線の影響のが重大であると警鐘せよと、さらに企業年金を被害者への弁済にあてよとの提言。会場から拍手。しかしところどころになにかとスノッブさをにおわす発言が多くて、言い方シダイなのになあと惜しまれる。
原発20キロ圏内からの避難者の生活支援関連の仕事をしている男性からは、この総会に参加するために高い参加費を払った、一言言わせてほしいと。しかし何を言っても壇上に届く気配なし。
質疑は次から次へと際限なく生まれる。一問一問に質問者の人生のようなものが垣間見られて興味深いのに対し、回答側の東電経営陣は暖簾に腕押し、互いの温度差が激しい。質疑すれども応答なし。繰り返されるのは、
「貴重なご意見として参考にさせていただきます」
「誠意をもって対応中でございます」
「現在はまだその段階にございません」
株主総会で議論すべき内容ではないと考えます」
など“暖簾に腕押し”“糠に釘”の極意を身に着けた選ばれしぬらりひょんのみが壇上に上がれるのだという感じがする。
「多大なご迷惑をおかけしていることを申し訳なく思っております」
など謝罪の言葉をなんど発しようが、心のこもらぬ枕詞のように繰り返されているという印象。株主総会でなにかを変えることなんかできやしないんだろうが、少なくとも自分が欲しいのは、ほんの少しの誠意。パフォーマンスにすぎなくとも、すまないという気持ちを体現してほしかった。しかし、経営陣にはほんの少しの罪悪感も羞恥心もねーんだなぁ…ということを知っただけ。失望。
質疑はまだまだ続き終わる気配をみせぬなか、午後1時過ぎに退出した。
自分の見守っていた3時間ほどの間、場内には怒号吹き荒れるというほどの荒れた様子はなく、ほどほどのヤジ、歓声、たまに拍手。意外なほど落ち着いていて、興奮して口調が乱れる質問者に対しては質疑の正当性いかんによらず
「やれやれ…」
と苦笑で流す年配株主らの反応など見るにつけ、どっちもどっち、いかにも日本人らしいと思う。
ライブで見られる第一会場へ立ち入れたらもう少し違った感想だったかも。最後まで入れなかったのが、心残り。ま、面白かったけども。総会は6時間程度、午後4時ごろまで続いたらしいです。
そうそう、最後に思い出したけど、質問者からこんな指摘が、
「会場前列を会社側への賛同者で固め拍手させるような株主総会は、いまどき古い」
笑った。