本日のよろこびごと。(326)


面白いが それでいいのか 鈴木先生(喜)

やべー、面白れー。
演出と撮影はドラマよりも映画をほうふつとさせる感じ。全体的に劣化したフィルムっぽく黄色みを帯びた色調、余白を多く使うところ、音声の響き方など。セリフの間の取り方と脚本は舞台の芝居のようでもある。だから相当癖がある。あるが、その癖がたまらない人には大うけだろう。アタシもその一人。たまらない。脚本家は古沢良太岩下悠子。『相棒』『キサラギ』『ゴンゾウ』の人かー、納得。全部好きだもん。
原作は漫画。テーマはくそエグい。初回は中2男子が友人の妹の小4とSEXしちゃったという、初回から飛ばすわなぁ。
学校に乗り込んできた母親(眉間にしわを寄せた化粧の薄い手塚理美が超リアル!)に対して当の中2男子は、
「二人とも合意の上でした。交際した男女がSEXするまでの期間は平均して3か月と言われていますが、僕たちはもう1年もつきあっています。もしダメだというのならあとどれくらい待てばいいんですか?」
「あの子はまだ子供なの」
「僕は同級生の女子とつきあったこともあります。やりましたが、処女じゃありませんでした。それからもいろんな女とやりまくりましたが、ひとりも処女はいませんでした。だったら処女と付き合いたいと思ったらどうしたらいいんですか? 中学生でもダメなら小学生ならあるいはと思ったんです」
おいおい。
「僕は彼女といろいろなことを話してきました。この人は今までの女とは全く違う、この人と一生を共にしたいと思ったんです。彼女が僕よりも大人であると感じたから、いいと思ったんです」
それからムチャな理屈を滔々とこね続け、でも親世代は論破できないどころか、鈴木先生は内心かなり感心していたりする。主人公の心の声がいちいち独白ではいるばかりか、さらに活字で挿入されるところが漫画的であり、問題のエグさを軽いもののように勘違いさせる効果を生んでいる。それがよいことなのかわからんが。
最後に鈴木先生長谷川博己)による鈴木裁きがくだされる。裁きといえども流れは一貫して、予備知識のないままで見た視聴者を裏切り続ける流れを貫いたままとんでもない方向へ、ああっ、あああ、行っちまった…。教育の現場を舞台にしておきながら、発端も途中も最後も、「ええっ、マジで? それでいいの??」という驚きに満ちたまま。
実は並行してもう一つネコ殺しというとんでもない問題も勃発し、こちらもあっさり決着。「ええっ、そんなんでいいの?」
まあ、ドラマだからこういうのもあっていいと思う。むしろドラマだからできるんだよね。ただ10時代だとちょっと時間帯が早いのでは。誰でも見れちゃうのはマズイって気がする。
富田靖子の女教師がすごくイイ。狭い世界で自己完結している異様さが逆に教師としていかにも居そう。生徒やほかの教師にくらべて鈴木先生の色が薄い(といってもロリコンみたいだが)、それが今のところちょうどいいバランス。
超問題作です(笑)