本日のよろこびごと。(320)


狙撃手は テレフォン越しの セラピスト(喜)
昨日の月9は見とらんし、本日スタートの2本も『リンカーン』がかぶるので見られないんで今日はドラマの感想はなし。
先日テレビで見た映画の感想。

口先三寸のいい加減男が、謎のスナイパーによって電話ボックスに軟禁され続けるだけの、シチュエーション・パニック・サスペンス・ムービー
公開当時、低予算&撮影期間わずか2週間、そのくせ期待以上に米国でスマッシュヒットというのが売りだったんだよね。「あー、見たいなぁ」と思いつつも見逃していた1本、ようやく10年以上経って見られました。
主人公が電話ボックスから1メートル以上離れることがほとんどないまま、ほぼノンストップの81分、
そもそものはじまりは、携帯電話を持っている男がなぜ電話ボックスを利用するのか、というところから。実は奥さんにバレないように浮気相手(まだ狙っている段階だが)との連絡手段にこの公衆電話を常に利用していたのですな。たまたまそんな人間模様を見るともなしに伺えてしまう場所に居を構えていたスナイパーが、妻帯者でありながら別の女までくどけるなんて羨ましすぎて怪しからん!と己の隠遁生活に引き比べて男のリア充ぶりを見咎め憤ったのが事件のきっかけ。
スナイパーは窓から男に照準を合わせ、ボックスの電話を通して、
「お前を狙っているぞ」
と脅し、口先だけでないことを示すため闖入者を狙撃して殺害してみせる。騒然とする群衆は一番近くにいた主人公が射殺したと誤解し、男はさらに警官隊の狙撃班の標的に。そこへ妻がかけつけ、さらに愛人もやってきて三角関係のドツボ、四面楚歌に追い詰められていく主人公。
という話を延々とやり続けるわけです。いかに観客を飽きさせずに話を引き延ばすのか、というのが脚本家の腕の見せ所。スナイパーが電話を通して男のセラピーを行うやりとりが妙におかしい。
「あんな綺麗な奥さんがいながら浮気しようだなんて恥ずかしくないのか? 奥さんを愛してるのか?」
「ああ、愛してる。悪かったと今では思っているよ(泣)」
「だったら今すぐ『浮気してました』と奥さんに告白しろ。しないと撃つ」
などと道徳を説き、
「『奥さんを満足させられていなんだろう?』と(狙撃犯と誤解して説得を試みている黒人警官に)言え」
「そんなことは言えないよ〜(泣)」
「言わないと奥さんを撃つぞ」
「わ、わかったよぉ〜。おい、お前、奥さんを満足させられてないんだろう!」
などと遠隔操作して高笑いしたり。
結局のところ最後まで見てもスナイパーの目的は意味不明。オチも浅いし、世にも奇妙な出来事の短編をむりやり引き延ばした感はある。その一方で、妙に1本筋が通った頑固さのようなものが感じられ、強引さもわりと心地よく、見てソンはない映画でした。でも映画館でだったらちょっとソンしたと思ったかな?