地震のこと(11)


翌朝6時頃、起床。少しは眠れたかなという状態。
校内放送で朝食の準備があるというので1階へ。菓子パンかコンビニ風おにぎりを1人1個、適当に選んで人数分を受け取る。おにぎりを、昨日コンビニで買ってきたお茶で流し込んで腹ごしらえ。
教室の雰囲気が少し変わってなんとなく落ち着かない。帰宅困難者だった父親や夫が一人また一人と合流し、夜の間ほぼ女子供だけだった人員構成が変わったためだった。
さてと、
「どうします?」
「9時になったら家に戻りましょうか」
「そうですね」
ヒロインも、
「私も、電車が動いているようなので帰ります」
東京メトロは早くも復旧し、少し遠いが最寄りのメトロ駅まで出られれば時間がかかっても都内に帰れる見通しが立った。家族とも連絡が取れたと言い、だいぶ顔に生気が戻っている。
9時、
「お世話になりました。本当にありがとうございました」
身支度を整えマットと毛布を1Fのスタッフに返却し予定通り避難所を後にする。
外は明るい。寒いが天気はよさそうだ。
市内バスが早くも運行を開始していた。液状化で噴出した水はほとんど引いたもの湿った大量の砂が残り、地面まわりはひどく荒れていることに、現実を思い知らされる。それでも普段の生活を取り戻す努力は早くも始められていることに心強さを感じた。
ヒロインをバス停近くの交差点で見送り、自宅へ。ポストに簡易トイレセットを発見して、ほおおっ。
無事生還。室内に異常なし。