裁判員制度広報用映画『審理』


図書館で、企画・製作:最高裁判所裁判員制度広報用映画、ってなんかすごいのがあったから興味本位で借りてみた。最高裁判所のHPでも無料配信してるやつね→http://www.saibanin.courts.go.jp/news/video.html
何本かある中から「審理」ってやつを選択。主演のりぴー。ほー。アタシのごひいきの相島一之さんも裁判員の一人ででてるやん。
先日も裁判員制度をテーマにした単発ドラマをフジテレビで見たばかり(「サマヨイザクラ」主演:伊藤淳史)。あれは、どんでん返しがあって作り話としては面白かったが、「やっぱ一般人に裁判員をさせるなんて無謀や!」と思わせるもんでありました。
さてこちらはどうかなぁ、最高裁判所が企画してるからお堅そうだけどー。
なんてね、うん、実は面白かったんだ。
電車内で素行の悪い若者に注意したら、逆恨みで暴力を振るわれ、身を守るためにたまたま所持していたナイフで若者を刺し殺してしまったという事件で、正当防衛が成立するかどうかがポイント。結構ヘビーな事件を扱うのだな。
6名の裁判員は3日間の話し合いで、

  • 有罪か無罪か?
  • 有罪の場合の量刑は?

の2点について結論を出さなければならない。
正当防衛ならば無罪。正当防衛とみなされなければ有罪で、殺人罪は5年以上の実刑、あるいは情状酌量の余地があれば3年弱の懲役に執行猶予をつけることも可能となる。
厳罰主義のアタシは、
「人を殺したんならぜったい有罪だよ。罪をつぐなわせるべき!」
と思って見はじめたんだけど、事情がわかっていくうちに、
「こんな目にあっても反撃するなっていうの? それはひどい。こりゃ無罪だな」
でもまた被害者遺族の嘆きを目の当たりにすると、
「いやいや、やっぱり人を殺した罪は重い。それなりの刑罰を…」
などと証言のたびに無罪と有罪のハザマで翻弄されてどんどん感情移入してしまう、実にうまいつくりなのだ。
そして最後には納得のいく判決が下り、議論をしつくした裁判員たちは晴れがましい顔をして、
「アタシ、裁判員をやってみてよかったです」
となる。ま、そこは広報用だからねっ(笑)。
やりきれない事件ではありながらもうまくストンと落とす、こりゃ脚本がうまいのだな。このクオリティなら他の広報用映画もみる価値ありそう。
でも実際の裁判でこんなふうに腑に落ちる展開は稀なんじゃないかしらん?