『大停電の夜に』

楽天CD/DVDレンタルの最初に届いたのがこれと『エリザベス・ゴールデンエイジ』。
この映画のスペシャルエディションのほうはAmazonでの評価が意外と高くて
「こんなに傑作なら映画館で見ておけばよかった」
なんて人もいるが、
「それほどのもんか?」
大都市・東京がクリスマス・イヴの夜に停電に見舞われ、明かりはろうそく。奇麗にならなきゃうそだろーな素材を存分に活用した映像は、切り取り方がうまくて確かに美しかった。しかし見た目のよさにこだわりすぎたか、登場人物(12人の群像)の行動はどれもいまいち血が通っておらん。
乳がん、不倫、過去の夢、私生児と母の再会、出所した男、離婚したい女など、登場人物の悩みはそれぞれに深刻だ(ただしあまりにもステレオタイプ)。彼らがろうそくの明かりや薄闇に心を開き、秘密をついつい語ってしまい、そして夜明けまでになんらかの結論を導き出す。それが、葛藤の末にこうしましたというふうではなく、映像としてこのほうが美しそうだから、かっこいいからこうしました、という感じ。小奇麗すぎるのよね。だから、心にずしんと訴えかけてくるものがないのだ。
まあ、ベースを爪弾くトヨエツは絵になるさ、確かに。