NHK-SP『沸騰都市』第8回東京

  • 2009年2月16日放送、東京〜TOKYOモンスター

やっちゃったね〜。硬派ドキュメンタリーなのになぜ漫才師(ナイツ)のコント? しかもアニメ? おもしろきゃいいよ、おもしろくないんだもの、NHK、どうしちゃったの?ですよ。
東京に沸騰しているネタがなくてとか、取材していた内容が裏事情で放送できなくなり水増ししたのかとか、それにしたってアニメを作るのにはそれなりに時間がかかるからねぇ、急遽差し替えたというわけでもなかったのでしょう。
まぁ、アニメに入るまでならば東京編もなかなか良かったよ。
地底都市としての顔、縦横無尽の地下鉄道網、その隙間を縫う神業で掘られた山手トンネル、さらにライフラインも地下へと潜行する。空中都市としての顔、建ぺい率の緩和によってビルの超高層化が進み空へと膨張していく姿、丸の内の高層三菱地所帝国、豊洲のマンション群。
無制限に膨張する東京モンスターの姿にこのとき誰しも危惧したであろう、
「大地震が起きたらいったいどうなっちゃうの?」
でもそこは沸騰都市のテーマではないので言及しない。そこはよし。しかし、豊洲の新設小学校では全校生徒がタワーマンション住まいの話に飛ぶのはいただけない。だからなに?という感じ。
その後さらに沸騰都市はドキュメンタリーとして失速していく。渋谷駅再開発、リニア新幹線…東京の沸騰は建造物を作り続けることだけなのか、土建屋さんががんばっているという印象のみ。東京は美しい…? そのフリもとても気持ちが悪い。
これまでの沸騰都市シリーズは、鋭い視点で都市の中枢や問題に切り込み事実を映像でひたすら積み上げていく密度が圧巻で、そこに息づく人々の熱気に飲まれ食い入るように見入ったものだ、たとえ不況であろうとも。ところが今回はまったく人の顔が見えてこなかった。アニメについてはもはや言及する気もせん。これだけ質の高いシリーズにおいて最終回がこれでは、まさに画竜点睛を欠く。
さんざんがっかりしたところに、予告編だけが救いとなった。シリーズで取り上げた都市のその後をやってくれるって、おお、これはめちゃくちゃ楽しみである。
きっと優秀なスタッフは後日談の取材で世界に散らばって東京には残っていなかったんだ、うん、そう思うことにします。