NHK-SP『沸騰都市』


もう開き直ったもん、テレビのことばっかり書くぞ!やっぱNすぺはおもしれー!

先週のヨハネスブルクも見ごたえあったね。ドキュメントの前半と後半で沸騰から氷点下へという落差がすごくて驚いた。もちろん氷点下に急転直下したのは未曾有の世界大不況の影響で仕方がないんだが、そうなる以前から問題があって、アパルトヘイト後の黒人優遇政策によってかつての[白人vs黒人]が、[黒人富裕層vs黒人貧困層]に置き換わっただけという時点でちょっと凍える兆しはあったってこと。だから沸騰都市というテーマにも関わらず、かげりが出てきたところまでで終わる。

今週のサンパウロは、エコだのバイオ燃料だの世界が騒ぎ出すより一足早く35年前(25年?)からブラジルがサトウキビ由来エタノールを国策で推進してきたことにより急速に発展してきたという。砂糖の需給バランスは完全に取れており、サトウキビなら、とうもろこし由来のバイオのように食糧需給に影響を与えることがないんだって。へー。
国内の貧困層が着実に中間層へと変わり、かつて家も車も夢だった人たちが今ようやく車を買えるようになっている。ディラーではじめての自家用車の売買契約を結び、
「私の夫は土日もなく毎日働くのよ」
「アリのようにね」
「ええ、アリのように」
と微笑みあい手を握りあう夫婦、結婚25年なのにお熱いのう。かつて「アリのように働く」と言えば日本人の専売特許じゃなかったか。え、働きバチ? ま、どっちでもいいが、超高層が過密しすぎずに整然とならんだサンパウロの町並みは美しく明日への期待が満ちていて、だいぶブラジルのイメージが変わりました。
長期的な視点に立った経済政策のお手本を見せられた気がする。原油価格の低下に伴ってバイオ燃料の価格も低迷するかもしれない。でも人間が生きている限り燃料の消費はなくならないし、世界中の市場から手を引いたオイルマネーがブラジルのエタノール産業へ流れ込もうとしていることからも未来が暗いものではないと予見させる。
「石油とバイオは必ずしも競合しない」
エタノール工場の社長。
「石油と混ぜる*1ことで石油の寿命を延ばすことができるんだ」
なるほど。
ブラジルがエタノールに国を挙げて取り組んでいた間、日本はいったい何をしてたんだっけ。月給7万円で2万円のローンを組む楽観さはラテン気質かもしれないけど、日本人は不況だからって必要以上に悲観的になりすぎなんじゃないかな。もっとラテンに学ぶべき。
「我々は世界がキリギリスだったとき、アリのように蓄えてきた。だから今はその蓄えを使えるんだ」
とルーラ大統領。未曾有の世界大不況のさなかにこんなことがいえるとはかっこいい。演説で他の国の人間も魅せちゃうなんて、オバマさんもすごいがブラジルの大統領もすごい。聞き入る国民の視線の熱さでよけいにそう感じるんだとしても、やっぱリーダーシップを感じるよ。
素朴な疑問、
日本にはノーベル賞をとれる立派な頭脳があるのに、なんで誇らしく思える政治家(リーダー)がおらんの?

*1:「混ぜる」って、「市場を分け合う」って意味だと解釈したけど合ってる?