「倒れてくる男」


いやー、びっくりだよ。電車で座れていい気分でうとうとしていたら、ふいにアタシの両膝にガシッと前に立っていた人の両膝がぶつかって、「うお、な、なんじゃ」と一気に覚醒。顔をあげると、そこに男の体が迫ってくるとは。まるで電池の切れた人形のように、意識を失った男性がそのままずるずる倒れこんできたのでありました。隣の乗客と協力して腕を捕まえてホールドせんとしてみても、あぁーあ、ずるずるずるずる。万有引力の法則のまま横倒しになり、ついに床に仰向けにぱったり。車中はみなあっけにとられて、しばし遠巻き。というのもね、倒れたときに「ううう…」とか呻いていたり、つらそうに表情をゆがめていてくれれいればまだ安心するんだな。ところが彼はそうじゃない。両目をかっと見開いたまんま、顔に表情の変化はいっさいなく倒れる直前の顔がそのまま凍りついた感じなの。こ、こわひ。「おい、大丈夫ですか?」という周囲の問いかけにも反応なし。し、死んでるのか…と思うよ、なぁ。幸いにして10秒ほど(すごく長く感じた)で意識を取り戻してくれて「あ、ちょっとめまいが…」と自力でなんとか立ち上がった。ほっとしました。軽い脳卒中だったのかしらね。まさか目の前でこんなことが。生きていてくれてよかったです、ホントに。お大事にね。。。