『結婚できない男』最終回(2)


ふっ、Succulentさんがどうしてもって言うのなら。
で、さらに書く。こんなの書いてる暇があったら、録画を見倒したいんじゃがー。ジャガー横田
さてさて二晩明けて思い返すだに、よーでけた最終回であったことよ。しかし今日は全般的にいろいろと。はて、どこから…。
そいや、桑野が誰かを固有名詞で、えー、苗字なり名前なりで誰かに呼びかけたことってありましたっけ?
そこにさほど注意を払っていたわけでもないので見逃したかもしれんが、「英治!」とか「沢崎、ちょっと」とか言う桑野の声が記憶から浮かばんの。「おい、ちょっと」とか「あ・・・」と何か言いたそうなそぶりをみせてやり過ごしていたという印象強し。事務所が社長と平社員の二人編制だからかな。三人以上いれば、「おい」と呼ばわったそれは「どっち?」「誰にですかー?」ってことになるやろ。沢崎さんがいるときゃ三人だ。とはいえ彼女は桑野の行動&思考パターンを知り尽くしているので(一緒にいる時間の長い英治よりもね)、「お…」でこと足りてしまう。
なんでこんなとこをつついているかというとですね、聞きたかったの。「夏美さん」って桑野の口からっ。あの男に「夏美さん」を言わす。たったこれだけで1話できそうだな。
夏「桑野さん・・・いえ、信介さん」
桑「え」(にやける桑野)
夏「あの、わたしも下の名前を呼んでもらえませんか?」
桑「え、な、名前って、あの、な、なつ早坂・・・先生とかですか」(うろたえ〜)
夏「下の名前で、です」(きっぱりと)
桑「な、なつ、な・・・み」(声が先細り・・・)
夏「ほらほら、どうしましたぁ。聞こえませんよぉ」
はは、あほらしー。あるいは、
夏「どうしました、桑野さん?」
桑「あ、あの、そろそろ、しんす…いあー」
夏「え、なんですか?」
桑「いや、あの、ぼくはフルネームでね、桑野信介っていうんですが」
夏「はい、知ってます。ああ、もしかして『信介さん』って呼んでもらいたいとか思ってます?」
桑「ふっ、あ、あなたがどうしてもっていうんなら」
夏「じゃあ、まずわたしのことを『夏美』って呼んでください」
桑「う・・・」
夏「『夏美さん』からにします?」
桑「な、そ、それもちょっと…きついな。だいたいもうそんな可愛らしい歳でもないでしょうに」
夏「どうしても一言多い人ですね、あなたは。もう知りませんっ!!」(キレて立ち去る)
桑「ふっ、めんどくさい女だ。…(少し練習して)な、なつみっ・・・なんだ簡単じゃないか」
あ、ごめん、アタシが別世界へ行きかけました。ちゃんと話をもどそう。
桑野は口下手でした。
診察室のプロポーズでの「結果的に結婚できない」という前代未聞の迷ゼリフも、言葉が足りず、話の順序が悪く、語彙の選択が不適切なのであって、補完すれば、「結果的には(今すぐ)結婚(したいけど、僕は二人にとっての理想の家を作りたいんです、どうしても。だから今すぐには結婚)できない(んです。設計ができるまで待っていてください)」になる。ったら、なるよね。沢崎さんに対しての「男とか女とか関係なく、お前みたいに便利な奴は他にはいない」というお言葉も、「男とか女とかを超越した、お前は俺にとってなくてはならない人間なんだ!」に。桑野、そろそろ「物は言いよう」ってやつを学習せんとな。あ、それじゃ個性の喪失か。それはまずいな。
桑野の口下手は、沢崎さんにも責任の一端アリっす。反省しましょう。彼の言いたいこと、自分のいないとこで言ったことすらもすべて聞かずにわかってしまう、エスパー沢崎。おかげで桑野は、「あれ」「これ」「あのさ」「うん」で話が通じる、桑野に優しい環境にスポイルされてしまったのだ。はい、反省しましたか? そんなふうに何でもわかってくれる女よりも桑野にとっては「めんどくさい女」のほうがよかったところが、また深い。
あ、沢崎さん…。
知人の葬儀に顔だししたときに「このたびはご愁傷さまです」すら出てこないってどうなのよ社会人としてと思うけど、「お、お大事に」「もう、死んでます」は、やっぱおもしろいから許す。って、このフォローは桑野並みの下手さでしょうかね。
え、えーと。
40歳前後の男女の恋につきものの過去話が、ほとんどなかったのはアッパレでした。
夏美先生がみちるに、昔付き合った人と結婚観の違いでなんとなく疎遠になったという話をしたことが1度あった。そんだけ。全12話の長丁場、夏美さんの過去の婚約者がでてきてどうこうするとかでお茶を濁す回が1話ぐらい挿入されていてもよさそうなのに、日常の狭い世界のリアルタイムだけでよくぞふんばり抜いた。桑野の過去だってほじくれば…これはなさそうか、それでもしつこいドラマなら、桑野が偏屈になったのには過去にひどい失恋を!なんて臭いエピソードをつくりそう。正直言うと、夏美の過去の婚約者の登場とかをちと期待しちゃったんだけどね。翻弄されて嫉妬したり動揺したりというのはもっぱら夏美ばかり。桑野はいつも飄々としていて、なんかくやしいやん。一度くらいは「うお、40何年生きてきて、はじめて感じるこのざわめき。これはいったいなんだ!? 」と、慄かせたかった。ベッドに倒れ臥させたかったんよ。あ、ケンに対しては心の慄きを感じていたか…がーん。
ケンと戯れる桑野。
ケーン、ハハハ、ケーン」って、あんた。自転車でおおっぴらに遊ぶ桑野とわんこ。桑野の笑い声「ハハハ」って、カタカナっぽいのう。
そろそろネタ切れ。こんなアタシに夏美さん、言ってくれないかな。
「本当にしょうがない人です…あなたは」
あの言い方、うはー、たまらんね。ビデオ鑑賞するわ。ではー。出羽の海―。