『結婚できない男』最終回


おもしろかったねー。
昨日、終わってからもう1回みちゃいましたー。
夏美先生、かわゆし。
お家で食事中に携帯がなったら、わざわざソファの前まで移動して正座してからおもむろに電話を受ける。お行儀がいいっていうのかなんていうのか、光るひざこぞうがひたすらかわゆし。携帯ってコードレスやろ、ふつうなら食卓へ持ってきて、アタシなら食べながら話しちゃうけど。それは行儀悪いって、あ、そうですか。すんません。
桑野、かわゆし。
胃痛なんてただの口実。テレビ出演のはなしをいそいそと夏美先生に報告に行くなんざ、子供みたいなやつだ。そのあとの、洋服のアドバイス(桑野いわく、「あなたの指図」)をしてもらうとこ、ららら、ふーたりの世界〜♪じゃん。ああいうアホっぽいやりとりって楽しいんだよね。完全に二人でお戯れのバカップル。
ふたたび夏美先生、かわゆし。
ベッドにごろんとしたとこに、きゅん。2回あったね。1回目はみちるから「桑野さんに好きって伝えてもらえませんか」と頼まれてつい承諾しちゃったあと「なぜ、アタシが・・・なんでアタシはこんなにどんよりしてるの?なんでこんなに胸が痛いの?」と落ち込み、職場のベッドに身を横たえる。「アタシ、桑野さんを好きなんだ」という言葉をはっきりと脳内で文章化することを避けてるとみた。漠然とした想いって言葉にしたとたんに、しっかりと真実になってしまう。だからブレーキをかけて、「もしかして桑野さんをス」までいったところで頭の中でシャカシャカとバックスペースを打ちまくり、なかったことにしてしまうタイプだろう。看護婦にみつかったときのリアクションが、さらにかわゆし。ぴょんっと飛び起きて、「うん、(マットレスの)堅さよしっ」と指差し確認。ごまかす。うーん、ごまかせてたのか?
2回目のベッドごろんの…あ、これはもう少しあとに話しましょ。
桑野母のお言葉、あれ、きつかったな。個人的にも、とっても。
「貴方が心配なの。私が死んだら貴方のことを本気で考えてくれる人がいなくなる。本当にひとりぼっちになってしまうのよ」
あうあう。これとまったくおんなじよーなこと、アタシの母ちゃんも言うんだよね。しょっちゅう。そうなんだよなー、わかっちゃいるんだが…。言われるたんびに落ち込みまする。あうぅ、きついのう。
あ、いけないいけない。このままじゃ、どこまでも長くなる。
では飛びまして、えーと、なつみの横恋慕について。
あっさり身をひいてくれてホッとした。ああいうとこで過剰演出されると最悪だもん。ライバルの夏美にウソの待ち合わせを場所を教え雨の中待ちぼうけを食らわすとか、桑野に「夏美先生は桑野さんなんか趣味じゃないっていってましたよぉ」とさりげなく(その実ぜんぜんさりげなくない)告げ口をして桑野の恋心をつぶそうとするとか、邪悪な展開ってよくあるやん。ああいうの、興ざめ。このドラマって嫌な人が一人もでてこないよね。そう、あの金田も「なんだ、いい奴じゃんか」だったもんね。金田の一人焼肉・・・桑野と実は気があう?
夏美が恋を自覚した瞬間はいつでしょう。
みちるに「夏美さんも桑野さんのこと好きなんでしょ」といわれたときかな。あの時ようやく夏美は自分の気持ちをちゃんと頭に書き留めたんじゃないかとアタシは思う。そいえば、みちるってば「ポジティブシンキング!」なんてVサインして夏美を励ましてましたね。それって盲腸の手術直前に夏美がかけた言葉をそのまま返してるんだね。そんな小さなセリフさえも、ちゃんと複線が散らしてあったなんて、なんて楽しいんだろう、この脚本。セリフがらみの複線で大きいのは・・・あ、これももう少しあとに。
さてさて夏美さんの告白。
「アタシたちの会話ってドッチボールみたいでしたね、いつも」
の例えには「ウマイっ!」とアタシも同意。そしてその直後でした。
「アタシはキャッチボールがしてみたいです、貴方と。ボールは投げました」
うほ、ついに言ったよ、夏美から。この短いセリフのひとつとっても夏美の声のトーンはとても鮮やかに変化する。そーいうとこ、夏川さんってすばらしい女優さんだなと惚れ惚れします。
さてそれを受けて桑野さん、うげ、ホントに野球のボールをみてやがる! な、なんてやつ。まさか本当にキャッチボールするんだと思ってるの? マジでわかっていないのか、く、桑野なら、あの桑野なら有り得るかぁあああ??といくぶん不安になりつつも、おもろすぎやー。深刻なシーンのあとの笑いが、汗をかいたあとのシャワーみたいで気持ちよいのう。
そして桑野が、ついに立ち上がる。決意を胸に抱いて、徹夜後に病院を訪れるのでありました。いよっ、いけいけー。
あの告白シーンは、かわゆし。
告白ってか、一足飛びにプロポーズって、ちょっと間違えたら気持ち悪いよな。つきあってもいないのに、人の家に勝手に住むこと前提で話をしてるし。しかしま、いいか。ここへ来て、たがのはずれた桑野の口ってば、言う言う。「自分の大事に思っている人」だの「(夏美のオーダーしている家で)自分が暮らしている」とか「貴方と出会って話し相手がいつもそばにいるのもいいのかなって。要するに(ここで「要するに」ってコトバを使うとこが桑野たるゆえんだな)僕は貴方が好きなんじゃないかな。ダメですか、僕じゃ」
一皮向けたスーパー桑野君は、もうどんどこ行きます。
「いい、かも・・・しれません」
「いい・・・いいでしょ」
ふふふ。いいなー。もらい泣きしそーだよ、アタシゃ。
ふたりして「すきなんじゃないかな」とか「(結婚しても)いいかもしれません」だとか、あいまい語尾で話すとこが、40前後の恋愛の微妙さを表していてよいですな。悶えるほど、わかりまする。なんかさ、臆病さが年輪のように増えてくるんですわ。若い子なら「好きです」「アタシもっ」で、がばっと抱き合ってわーいわーい、ぶっちゅーといけるところを、「なんじゃないかなぁ」「アタシもかも」でテレテレしあう。こーいうとこのが大人のかわゆさよねっ。ねっ。
大喜びのクワノッ。そして、
「ああ、嬉しいなー。…ま、結果的には結婚できないんですけどね」
はああ???
BGMもストーップ。
感動が深かった分、この展開には爆笑。1回目も2回目も、何度見てもプッ、ぶ、ブハハハッハー。ちょっとほろりときてたのにー、うぷぷぷぷぷぷ。
「家なんていらない。家なんかどうでもいい。そんなの賃貸でもなんでもいいじゃないですか!」
でたー夏川声の七変化。声がぶっといー。
「もう知りませんっ!」
このあとが2回目のベッドごろん。看護婦にみつかったときに今回は「アタシ、もうだめ」と能面のような顔でつぶやく。わかります、その気持ち。このときの夏美のお顔が激シャン(美人)な〜のだ。
「ちっ、ややこしい女だ」
桑野にとっては、「貴方が好きだけど、二人で暮らす家のイメージがわかないから結果的には結婚できない」という理屈は理路整然としたものであり、それを理解できない女は「ややこしい女」なのだ。桑野がスーパー桑野君にパワーアップしても、根っこのところはちゃんと桑野なんだなあ。
で、ラストよね。来ました、桑野の決め台詞。「どうしてもっていうのなら」が、ここに来て生きてくるとは。すばらしー。
圧力鍋で釣る男。あほらしくて、でも必死。笑えます。最高です。で、ふられちゃう。
そして夏美さんからの逆襲、
夏「貴方がどうしてもっていうのなら、行ってもいいですよ」
桑「じゃあ、来てください。どうしても」
夏「はいっ」(この言い方がまたかわいー、たまらんっ)
で、「終わり」のクレジットなしにCMってのはあっけないが、ラストだめおしっ。DVDプレゼントのあとの一瞬の金魚鉢に金魚が、ふ、増えてるー! ここまでやられたら泣けるぜ。こんな素敵でさわやかな最終回ってひさしぶりだー。
そりゃさ、スペシャルを意識して終わり方変えたでしょ?ってちと疑わしさはあるけれど、むやみに大団円を急かさずにすみ、そのぶんじっくりと描いてくれたうえに間延びもせず、クオリティを高く終えたとこなんざすばらしいです。だから、
「桑野、アンタがどうしてもっていうのなら、スペシャルやってもいいよ」
ってか、絶対やってくれー!(ってかアタシ、どんだけ書いてるんだよ。まだ書き足りんのじゃがー、ジャガー横田