末広美津代著『泣いて笑ってスリランカ』


久しぶりに本の話題。会社を辞めてスリランカへ1年間突撃紅茶修行に行った著者の旅行記です。
スリランカはセイロンティのふるさとですね。インドの下にある島で、ジャワ島沖地震津波で被害を受けたことぐらいしかあまりよくは知らない国だけれども、へーこーいうとこか、ふむふむ。素朴であったかい人たちと、その反面、民族対立やカースト制度など馴染めない風習も残っている。ホストファミリーのそれぞれの考え方や受け入れ方、食事とかも興味深いけども、やっぱ一番は紅茶のこと。日本でアタシ達が飲む一杯の紅茶がどーいう人たちの手で摘まれ、どういう風に作られ守られていくのか、よーーくわかりました。コレを読んだらぜったいにもう飲み残しなんてできないね。ラスト一滴までこれからは大事に大事に飲みましょう。
ミツさんは体当たりであっという間に現地の言葉を覚え(日本語と語順が一緒で単語が少ないから簡単なのといいつつも、アンタはすごい! しかも現地の言葉は1種類じゃないんだよ〜!!)、するりと紅茶園の中へはいりこんで、どんどん吸収していきます。紅茶のことをもっと知りたいという情熱をもって。前向きな行動力は、危険地帯へも「今行かなければ後悔するから」とホームファミリーの心配を振り切ってゆかせてしまう。でもずうずうしさとか、いやらしさは皆無。スポーツ新聞社出身だけあってか、てらいも癖もない文章に、素直で明るいお人柄がしのばれます。
セイロンティの有名な産地(ヌワラエリヤ、フルナ、キャンディ、ウバ、ディンブラなど)を、その地域の最高のお茶が取れる時期を追うように渡り暮らしてゆくのを読んでいるうち、こちらも自然に「へー、同じセイロンティでもそんなに違うのか。ヌワラエリヤのペドロ農園の紅茶が飲んでみたいなあ」などと興味がどんどんピンポイント化してゆく。知識が興味を助長する。マリアージュ・フレールなんぞへ気取ってお茶をしに行ったものの、分厚いティーメニューを渡されてはじから読んでるうちにあまりの多さになにがなにやらわかんなくなってくたびれてたのは、今までのアタシさ。次回は「アタシはスリランカのどこどこ地区のがいいわ」なーんてね。知識が揮発しないうちにゆかねばー。
なかなかマネはできない旅行記だけども、ちょっとスリランカには行ってみたくなりますね。紅茶園訪問ツアーなんかでよいですが。
(ミツさんは帰国後に、紅茶の直輸入の会社MitsuTeaを立ち上げ、ホームページでも直販されているようです。興味があればググるがよろし)