『ダ・ヴィンチ・コード』


んー、面白くないわけじゃなく、さりとて面白いとも言いがたし。ひとことでいうと凡作やね。
トム・ハンクスジャン・レノという力のある俳優が競演しているというのに、ほとんど直接絡まない(最初だけね)のがもったいない。まあ、お話の展開上、絡んだら終わっちゃうんですけども、大捕り物が一段落した後になんかひとこと交し合ってもよかったのではと思うのです。ほんと、惜しいなぁ。
ポール・ベタニーは『キス★キス★バン★バン』で「なんて男前なんだー!」と感動したお方。あの作品の彼はまだ若くてクール&キュートでかっこよいのです。こんな大作に抜擢されたってだけでも嬉しいけれども、あれだけ白塗りして体張って演じたシラスという青年の生い立ちをもう少し深く描いてくれたらよかったのに。これはファンだからゆっているだけでなく、そしたら作品にもう少し深みが出たかなあと思うのです。導師に親愛の情を示されたときの彼の驚きと嬉しさが混じった表情がなんともいえず彼の悲劇性を物語っていてよかったのにね。
黒幕のキャスティングは難しいとこだねー。原作が大ベストセラーだから観にくる人の過半数は黒幕が誰が知っているわけで、そーいうときにどうキャスティングするか悩むとこよね。もう皆わかっているんだからという前提で「ええっ、アンタが、そ、そんな!」という驚きはもやは不可能とあきらめてわかりやすくするか、ネタを仕込んで来ない少数派に「こんなよさそうな人が、えーショックぅ」という驚きをもたらすようにいかにも善良このうえない人をキャスティングするか。まあいずれにせよサスペンス部分が冗長でたるいには変わりないか…。
でもやはり史実を絡めた謎解き部分(コンスタンティヌス帝によるキリスト神格化、テンプル騎士団の受難、魔女狩りなど)が映像化されたところは、うん、説得力がありましたね。あそこはいい。あそこだけ尺を伸ばしてもっと見たいなー。あの迫力はさすが、相当金もかかってそう。
何はともあれ、原作を読んで映画を観て、そしたら復習のために再読したくなりました。この映画、原作を読まないで観るとわけわかんないまんま終わるかもしれません。